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フランジボルトのJIS規格サイズ早見表

フランジボルトの違い

フランジボルトとは、六角頭の下に円形座面が確保されている、まるで平ワッシャーと一体化したようなボルトのことを「フランジボルト」と呼びます。

フランジボルトとは

JISで規格されるフランジボルト( JIS B 1189:2014 )は基本はISO基準になっていますが、実際に国内で多く利用されているフランジボルトはJIS規格の中でも附属JAに属する「2種」になります。

この附属規格の中にも1種と2種が存在し、少し分かりにくくなっています。整理しますと以下のようになります。

JIS B 1189:2014

  • ① JIS規格(国際規格のISO 15071 及び 15072に準じている)
  • ②(ISOによらない) JISの付属規格の1種
  • ③(ISOによらない) JISの付属規格の2種 ←これが最も多く利用される

この①の「ISO国際規格に沿ったもの」②③の「附属規格の1種、2種」では、同じネジサイズでも頭の六角形状の幅寸法や外径などが異なります。
例えばM6でしたら、①ISO品は8mmですが、②附属1種,③附属2種品は10mmです。
(これを知らない設計者は数多くいらっしゃいます。)

フランジボルトの形状は数多くあります。

下の画像のフランジボルトは全てM6サイズです。色、長さ、ネジ部(首下)、六角部の大きさなど、ネジはM6で同じでもこのように種類が数多く存在しています。

JIS規格でも様々ある

頭部分を正面から見ると

同じネジサイズでも頭形状が違う

左から2番目と最右の頭の六角は10mmです。その他は8mmです。同じ8mmでも左から4番目は座面が大きさくなります。このようにフランジボルトのJIS規格があっても、実際に利用されているフランジボルトは種類が豊富です。

しかし、頭の形状は数多く異なるものの、主に利用されるフランジボルトの2種にはネジ径がM4~M16までしかありません。ネジの長さも決められています。数多く存在してしまうのは、JIS規格で定義されている細かな部分でメーカー裁量(独自で決められる)が多いことが挙げられます。ここから詳しくフランジボルトのJIS規格を見ていきます。

JIS規格種別の違い

先に紹介した3種類の規格(①ISOに準じたもの、②JIS附属1種、③JIS附属2種)ごとに頭の形状が異なります。違いを表すと以下のような違いがあります。

JIS1種2種とISOの違い
首下は同じです。

3種類を見比べていくと、それほど大きくは変わらないように思えますが、用途によってはこの違いが影響する場合もあります。これらの違いは主にヘッド形状の違いが主になります。

ヘッド形状の違い

JIS1種2種とISOの違い頭形状
座面に厚みのある2種が主流

ヘッド形状は高さ、座面形状、六角対辺などの要素が異なってきます。いずれも2種が主流ですが、メーカーごとの裁量で決められる範囲も広く、また、大量に使用する製品メーカー(ブランド企業)では独自のフランジボルトを生産してしまいますので、多品種になってしまいます。

ピッチは並目と細目がそれぞれにあります。

先に紹介した3種類のJIS規格品にも、それぞれにネジピッチは並目と細目があります。これはネジ部はネジのJIS規格が適用されるためで、JISで規格されるフランジボルトの範囲は主に頭の形状部分だけになっているためです。

フランジボルトとワッシャーの併用は必要?

フランジボルト自体が座金と一体化していることで、締め付けトルクは円形に均等に分散できます。平ワッシャーの最大メリットである、相手面への(締め付け時の)回転傷を付けない事、いわゆる座面の確保を必要とする場合は、フランジボルト+平ワッシャーを組み合わせて使うことも有効です。ケースバイケースになりますので、目的に応じて利用してください。

また、スプリングワッシャーとの併用も可能ですが、緩み防止目的でスプリングワッシャーを利用しても近年はその効果に疑問符を打たれていますので、ネジロック等で対処する方が適切とも言えます。

フランジボルト2種のネジ径別寸法一覧表

ここでは主に利用されているフランジボルトのJIS規格品の中でも日本独自規格になる「付属JA2種サイズ」を紹介していきます。重要な部分のみの寸法記載でAが六角対辺、Bが座面の最大外径、Cが高さです。但しBとCは最大値です。

JIS B 1189:2014 附属JA2種のサイズ早見表

サイズ表の寸法値
ISO、1種は異なります。
M(呼び) ピッチ A六角
対辺
B外径
(最大)
C高さ
(最大)
ネジ部首下長さ
M4 0.7(or 0.75) 7 10.5 4.2 全ネジ:6 / 8 / 10 / 12 / 14 / 16
ネジ部14mm:(18) / 20 / (22) / 25 / (28) / 30 / (32) / 35 / (38) / 40
M5 0.8(or 0.9) 8 12.0 5.0 全ネジ:8 / 10 / 12 / 14 / 16 / (18)
ネジ部16mm:20 / (22) / 25 / (28) / 30 / (32) / 35 / (38) / 40 / 45 / 50
M6 1.0 10 14.0 6.0
全ネジ:10 / 12 / 14 / 16 / (18) / 20
ネジ部18mm:(22) / 25 / (28) / 30 / (32) / 35 / (38) / 40 / 45 / 50 / 55 / 60 / 65 / 70
M8 1.25 12 17.5 8.0 全ネジ:12 / 14 / 16 / (18) / 20 / (22) / 25
ネジ部22mm:(28) / 30 / (32) / 35 / (38) / 40 / 45 / 50 / 55 / 60 / 65 / 70/ 75 / 80 / 85 / 90 / (95) / 100
M10 1.5 14 21.0 10.0 全ネジ:14 / 16 / (18) / 20 / (22) / 25 / (28) / 30
ネジ部22mm:(32) / 35 / (38) / 40 / 45 / 50 / 55 / 60 / 65 / 70/ 75 / 80 / 85 / 90 / (95) / 100
M12 1.75 17 25.0 11.5 全ネジ:(18) / 20 / (22) / 25 / (28) / 30 / (32) / 35
ネジ部30mm:(38) / 40 / 45 / 50 / 55 / 60 / 65 / 70/ 75 / 80 / 85 / 90 / (95) / 100 / (105) / 110 / (115) / 120 / (125)
ネジ部36mm:130 / 140
(M14) 2.0 19 29.0 13.5 全ネジ:20 / (22) / 25 / (28) / 30 / (32) / 35 / (38) / 40
ネジ部34mm:45 /50 / 55 / 60 / 65 / 70/ 75 / 80 / 85 / 90 / (95) / 100 / (105) / 110 / (115) / 120 / (125)
ネジ部40mm:130 / 140
M16 2.0 22 33.0 15.0 全ネジ:(22) / 25 / (28) / 30 / (32) / 35 / (38) / 40
ネジ部38mm:45 /50 / 55 / 60 / 65 / 70/ 75 / 80 / 85 / 90 / (95) / 100 / (105) / 110 / (115) / 120 / (125)
ネジ部44mm:130 / 140

早見表を印刷したい場合はこちらからpdfをご利用ください。

フランジボルトの場合はネジ部分が長くなると先端しか有効ネジ部がありません。例えばM6x30は首下は30㎟でもネジ部の長さは18㎜になります。全ネジはありません。

ここに記載されている寸法値以外がネジメーカーの裁量で決まっている部分が多くなります。例えば頭のくぼみは内径も深さもメーカー裁量です。そのため、ネジメーカーごとで意匠性も異なります。

なお、こちらのサイズは標準型のF形座面になります。ISO規格では注文者が指示するU形座アンダーカットありについては座面の外径が標準型に比べ約10%弱大きくなります。(本件に関してはISOの際に指定できる注文者指示内容です)

材質、表面処理は?

鋼(鉄)とステンレスが主になりチタン製もあります。
表面処理されやすい鋼の場合はユニクロ/クローム/ニッケル/ブロンズなど
ステンは黒染めもあります。

ヘッドのくぼみの数字は何?

ネジメーカーで購入するフランジボルトには、頭のくぼみに数字を見かけることがあります。これは強度区分(補償)を表しており、数字が大きいほど強度が高くなります。例として、12.9 > 10.9 > 8.8 > 4.8の順です。

フランジボルトの数字は何?

強度区分の4.8を例にすると、4.8の場合は頭の「4」のみになっていることがほとんどです。(一部8.8は7として表されている)

なお、4.8の意味は、最初の「4」引張強さを表し400N/mm2 です。
.8の「8」降伏点(こうふくてん=変形が始まるまでの応力)で引張強さの80%であることを表しています。ここでは400×0.8の「320N/mm2」が降伏点となります。

フランジボルトの特徴

数多くの種類が利用されるフランジボルト
エンジンオイル注入口周りでも数多く使用される

フランジボルトは、主に作業性と利用できる工具の多さなどの優位性から自動車やバイクで利用されることが多いです。これは分解できることが必要となる車輛系では全体での部品の削減、十分な結合力と座面の綺麗な状態を保持できることからも、乗り物系には適しています。

サイズ的には、M6,M8,M10が中心的に利用され、用途はクランクケースからシリンダーヘッドの締め付け、フェンダーをフレームに固定するボルトとしても、エンジンからボディーパーツに至る様々な場所で利用されています。

フランジボルトのメリットとデメリットを分けると以下のようになってきます。

メリット

  • 座面があることで平ワッシャーを不要にできる。部品点数の削減
  • 外れにくい。(フランジ裏にギザギザのセレートありも選べる)
  • 相手座面に付く傷が隠れやすい(フランジ座面が円形のため)
  • 工具がハマりやすく、狙いやすい。
  • 意匠性がある

デメリット

  • 鍛造による成形品であること
  • 六角ボルト+平ワッシャよりはコスト高になる(概ね六角ボルトの1.5倍)
  • ボルト単体としては重くなる
  • 六角ボルトと比較すると強度は低くなる。
  • 規格品ではM16までしか選べない
  • 規格品では長くなると先端だけネジになる(全ネジを選べない)
  • 頭の形状はメーカー別で意匠性が異なる(規格の範囲が広いため、メーカーの裁量で決められる部分も多い)

フランジボルトの頭はアプセット鍛造(冷間圧造)によって作られます。アブセットは金属を潰して成形するため、六角部分の精度は低くなります。
そのため、六角ボルトより魅力的な面は数多くあるものの、メーカー別でヘッド形状が異なり、用途によっては選べない場合もありますので、設計時にフランジボルトを使用する時には細かなサイズを確認してから検討する必要があります。

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この記事はalumania(アルマニア)のスタッフによって調査・検証して投稿されています。
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