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穴あけ前の下穴としても使えるセンタードリル選びと使い方

ボール盤や電動ドリルで垂直に穴を空ける際に、直接最終仕上がりサイズのドリルで穴を空け始めがちですが、ドリル加工する前に下穴を作っておけば、最終穴あけが垂直かつ正確(真円)に空けることができます。

センタードリル

その下穴を作る(空ける)際には、最初にセンタードリルが適しています。ここではセンタードリルの使い方や種類について解説していきます。

穴あけの順番(最終ドリル径8mm以上の例)

  1. センタードリル
  2. 下穴ドリル
  3. 最終ドリル

材料が硬い部類になる鉄などでは、8mm以上の穴をドリルで空ける場合は下穴ドリル加工を行ってください。センタードリル+最終ドリルでも穴は空きますが、より垂直に正確に空ける場合は下穴が欲しくなります。

とにかく最初はセンタードリルを使用してください。

なぜ、センタードリルが必要?

いきなりドリルで穴を空けようとすると、ドリルの先端が逃げてしまい、狙った位置に穴が空けられないことになります。そのため、必ずドリル加工の前に使用します。センタードリルを下穴としてもOKです。

センタードリルは、ドリルで穴をあけるための穴の中心 (下穴やガイドともいいます) を作ります。

最低でもセンタードリルでガイドを作っておかないと、いきなり10mm以上の大径ドリルで穴を空けようとしても、中心位置が必ず外れてしまいます。

大径ドリルは刃先が大きくトルクが強くて加工物が逃げたり、振動してしまうことが多々あります。いきなり仕上げの大径ドリルを使うことは危険なので、最初に5㎜程度のドリルで下穴を作ることも必要です。

ドリルの先端が必ず中心とは限らない

ドリルのチゼル
ドリルの先端にチゼル部分があります。

ドリルはその中心(尖っている先端部分)が必ず刃先の中心とは限りません。チゼル(画像赤の部分)で加工物の表面をもみ上げていきますが、そこが限りなく尖っているわけではなく、またそれがドリルの中心にあるわけでもありません。

そのため、下穴無しでいきなりドリルで穴をあけようとすると、ドリルが逃げていくことがあります。

特にバイスで加工物を固定していない場合は顕著に加工物が逃げやすくなり、ドリルの中心が意図しない方向へ向いて行きます。センタードリルで下穴をあけておけば、ドリルがズレる(逃げる)ことなく綺麗な穴の加工につながります。

センタードリルの使い方

センタードリルで加工した穴

最終ドリルまでの順番

最終的に13㎜などの大径穴を空けたい場合、例として使うドリルのサイズと順番は以下になります。

  1. センタードリル
  2. φ6~8㎜ドリル
  3. 大径(13mm以上)

の順に穴を作っていくとストレスなく綺麗な穴が鉛直に空きます。

更に穴あけの後に面取りカッターを使って穴の口元を面取り加工してあげると、ひと手間分追加しただけ綺麗な穴が完成です。

センタードリルの深さ

「下穴」といっても、センタードリルは次のドリル加工のための位置出し(ガイド)が目的のため、貫通させる必要はありません。

センタードリルの先端部分の細い部分からテーパー形状になる部分までの深さだけ掘れば完成です。

センタードリルの深さ

注意!センタードリルの直径まで掘りこんではいけません。テーパー部分が残るように、途中までで完了です。

丁度良い穴にしたいサイズと同じだったからといって、センタードリルを穴を空けるドリルとして貫通させてはいけません。厚みのあるものは先端が折れて大変なことにもなりかねません。

センタードリルの回転数

センタードリルの回転数は、どんな材料でも500~1,000rpmの中であれば問題ありません。

センタードリルの太さによる関係もありますが、ここでは先端3㎜の場合で覚えやすい数値では1,000rpmが目安となります。

薄板に穴を空ける場合はセンタードリルは使用しません。

SPCCの1.2㎜や1.6㎜程度の厚みの鉄板に穴を空ける場合は薄板用のドリルを使用してください。その場合はセンタードリルは使用しません。

薄板用ドリルの形状はローソク研ぎとも呼ばれる、刃先の先端がちょこんと尖った形になっています。ドリルのような全面テーパーではありません。この薄板用ドリルの場合は尖った先端がセンタードリルの役割を果たしてしまいます。

薄板用ドリルは刃先形状が違う
左が薄板用で一般的ドリルと先端の刃先形状が異なります。

薄板(spcc1.6㎜厚未満程度)は『センターポンチ』で位置決めしておき、センタードリルは使わず、薄板用ドリルで空けてください。

センタードリル選び

センタードリルは様々な種類と材質、大きさがあります。角度も違っていたりと種類が多すぎて悩み始めてしまう可能性は高いですが、使いやすいのは「直径(シャンク径)10mmの先端3㎜の60度」をお勧めします。

センタードリルは種類が豊富です

センタードリルは様々なサイズがあります。
一般的によくあるセンタードリルだがサイズ違いも多い

一般的によく使われるセンタードリルのタイプとしては、刃先の次の段がテーパーで60度タイプがよく利用されています。悩んだらこちらのタイプが一般の方には万能です。

60度が一般的で使いやすい

材質はHSSと記されたハイス剛という素材になり、アルミや真鍮や鉄素材に空けることができます。(鉄といってもHPM材などの金型に使用するような材料は超硬ドリルになってきます。)

ひとまず迷ったら、お勧めは 3 x 60゚x 10 (先端3㎜、テーパー角度60度、シャンク径10mm)がボール盤には手頃なサイズで汎用性が高いサイズになります。(YAMAWA:CE13.0相当)

yamawaのCD-E

先端が3㎜なので大抵のドリルのセンター下穴ガイドとして重宝します。3㎜以下の穴を空けるときでもほとんど使えてしまいます。2,000円くらいです。
(仕上げの目的によりますが、ここでは「ボール盤で簡単に穴を空けるときのセンタードリル」としてのお勧めです。)

まとめ(ボール盤で使用する場合)

  • センタードリルの回転数は500~1,000rpm
  • テーパー部分まで掘ること。穴として貫通させない。
  • センタードリル選びに迷ったら 3 x 60゚x 10 が汎用的で使い勝手が良い

基本的に全ての穴は、このセンタードリルによって最初に位置決めされていると考えても良いほど、金属加工では必要不可欠なものです。

ボール盤の回転数を変更する場合はこちらも参考に

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ボール盤の回転数の変更方法はこちらを参考にしてください。

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“穴あけ前の下穴としても使えるセンタードリル選びと使い方” への2件のフィードバック

  1. アルマニアファン より:

    EDGE LINEのバックパネルのカメラ窓の部分も、面取りがカッコ良くてとても気に入ってます。あの部分もドリルで加工されているんですか?EDGE LINEは電波対策の切り欠きやストラップホールなど、細かく作られているので大変そうです。そういえば、バックパネルのあるバンパーって他に無いんですかね?見たことが無いです。

    • alumania より:

      窓部は、「面取りカッター」と呼ばれる別のツールでの加工となります。ご紹介したツールは穴あけに使うことが主となります。機会があればまた面取りカッターも本当に種類が多いのでご紹介致します!
      EDGE_LINEのようなバックパネルという同じような構造は他社製品であるか分かりませんが、背面まで削り出しによって被っているアルミケースはありますね!EDGE_LINEのパネル自体はプレス加工+削りによって作っていますので、金型が必要のため少し生産にはハードルが高くなります。

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