先日ご紹介した記事の「ファイヤーパターンの描き方」について、意外にも多くの反響をいただきありがとうございました。
ファイヤーパターンといっても、自由曲線のライン書きを応用しますとトライバルにもなりますし、フレア(フレイム・ファイヤー)パターンとも印象が変わるような模様になります。
また、その他の記事で「ポリカーボネートの塗装手順紹介 」についても、普段から多くの方にご覧いただいているため、ペイントに興味がある方が多いようです。
そこで、一つのデザイン参考に役立てていただけるよう、15年以上前に自身でカスタムペイントしたヘルメットを引っ張り出して、カスタムペイントの技法とフレアパターンを応用したデザインについて解説していきます。
フレアパターンを応用したデザイン
黄色のラインはフレアパターンの応用でラインを構成しています。このラインはラインテープ(細いマスキングテープ)を使ってますので、線の太さが均一です。このライン自身も黄色とオレンジでグラデーション化しています。
全体はブルーになってきますが、ブルーはキャンディーカラーで下地に入れた文字が透かして見えるようにしています。
フロント
全体のデザイン構成では左右対称になっています。これは中心から片側にまず下絵を書き込んで、反対側に反転しています。ここでは紹介なので説明しませんが、反転方法は色々あります。測定すれば1,2mmはズレてしまっていると思いますが、基本的にはぴったり合わせています。
左サイド
今でこそ見れば、あまり上手なライン構成ではありません。そのためデザインの参考用で捉えてください。オフロード用のため、ゴーグルを付けたときにバンドがデザイン上の後ろに伸びる白のラインと被るようにしています。
トップ
SHOEIのロゴもペイントしています。ステッカーではありません。透かしのブルーのキャンディーは、カスタムペイントには欠かせない「ハウスオブカラー」を使っています。
バック
この透かしの文章は平家物語になっています。「祇園精舎の鐘の声…」から始まっていますが、ヘルメットのどこからそれを始めたか覚えてません。。。
文字をキャンディー色で透かすために粗目のシルバーで、ベースにはフレークを使っています。キャンディーを入れる前はシルバーのギラギラ粒感の違いだけで文字が見える状態にして、そこから一文字ずつに影も入れています。
トップのアップ
こうやってみて気づくのですが、レインボーのラメをクリアを吹くときに入れていたようです。7色にポツポツしてる粒がラメです。
紹介したヘルメットは、既に年数が経ちすぎていますので、クリアのひけ(艶落ち)が発生していましたが、コンパウンドで磨けば艶は戻ります。
ペイントしてからほとんどガレージ内の観賞用状態でしたので、ほとんど被ってませんが内装はさすがにボロボロでした。VFX-Rのインナー(内装セット)は交換式ですが廃番でした。。。
カスタムペイントを依頼するとき
カスタムペイントはとても魅力的に映ります。唯一のオリジナルデザインがまさにカスタムペイントの醍醐味です。しかしながら、その作業の手間は想像を超えるものでもあります。値段には代えがたいものですが、定価はありませんので納得できるプロに依頼することが大前提になってきます。
プロに依頼した場合の値段相場
今回ご紹介したデザインのように透かし文字があると、カスタムペイント業者に依頼すれば恐らくペイント料だけで10万円は超えてしまいます。
高額なってしまう理由は文字部分だけなので、このペイントでは文字を1文字ずつ切り出して、全て貼ってから塗装していますので、150文字近くある文字を貼るだけでも1日以上を要した記憶があります。
この文字は無視して模様で済ませてしまえば、キャンディーがあるので今の相場で5~7万円前後でしょうか。もちろん、もっと綺麗にペイントしてくれると思いますし、一品ものになりますので(自分にとって)値段以上の価値はあります。
ハッキリ言ってカスタムペイントのプロの値段は本当に安いくらいです。一度に大金が飛んでしまうようなイメージに陥りますが、数多くの道具から塗料を揃えて、下地作りからマスキングを変えて…と、素人では計り知れないテクニックを持って細かな作業を数日かけて行っています。
ヘルメットをカスタムペイントする手順
ヘルメットをカスタムペイントする場合、まず全てのふちゴム部分を外して帽体だけの状態にして研いで(下地作って)から、デザインマスキング用に(白や灰色)単色塗装し、ようやくデザインに入ります。
なお、ふちゴム外しはかなりの技術が必要です。AraiやSHOEI製のような一流ヘルメットでは、瞬間接着剤で貼り付けてありますので、外すというよりは剥がす作業です。
- スクリーンやディフェーザーなどの部品を全て外す、分解する
- ふちゴムを取り外す
- 帽体とディフェーザー類を全面研いで下地作り
- (傷が強いなら)プラサフ吹き→研ぎ
- 下色の単色塗装→研ぎ
- デザイン・マスキング開始
ペイントショップ選び
但し、全てのカスタムペイントショップが同じような方法で行うかは不明です。ここでのヘルメットで言えば、ふちゴムまで分解せずにマスキングするだけのペイントショップもあります。
ペイント自体はどんなものにもできますが、ヘルメットが得意なところ、車体が得意なところ、デザインは良いけど雑な作業など、それぞれに特色があり、その腕を見極めるのは、経験者でない限り正直難しいです。
ワンオフものになれば、定価が無いので言い値になってきます。ペイントショップ選びでは先に相場観や多少の塗装手順の知識を持っていないと、後に騙された感を持つようにもなってしまいますので、注意が必要です。
DIYでカスタムペイントする場合
DIYでヘルメットをペイントするときに注意しておくこと、頭に入れておけば少しでも仕上がりがランクアップするまとめです。慣れていないとデザインが細かくなりすぎて、手間が多くなりがちになります。
DIYペイントのポイント
- デザインは1m離して見ながら検討すること。
- 比較的大きな模様にすること
- ヘルメットの大きさになるとエアブラシだけでは苦労する
- 塗料だけで重くなるため色は通常の2~3倍希釈して薄く塗る
- 自然乾燥なら2液性でも1日1色にとどめる
- 色を入れたらクリアーを塗って守る
- 最後のクリアも塗っては研ぎを繰り返して段差落としできれば◎
まだまだいくらでも注意点はありますが、DIYといっても簡単ではありません。ヘルメットサイズになると室内で塗ることは難しいですし、外では匂いが近隣に飛んでしまいます。
また塗料はスプレーガンの口径違いや色を入れる部分によってもかなり調整しますので、やはりプロに依頼するのが無難な作業になってきます。
環境があり手間を惜しまず失敗してもリカバリーしていく覚悟を持って、DIYでのカスタムペイントにチャレンジしてください!
この記事は機械加工の中でもアルミフルビレット技術を駆使して独自の観点によって「独創性のアイテム」を造り出す、alumania(アルマニア)の専門スタッフにより執筆されています。
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