フランジナット(JISでは「フランジ付き六角ナット」)は六角ナットとワッシャーが一体化したような形状を持つナットです。
座面が広く、円形であることから、六角ナット単体使用に比べて締結力(トルク)を強くかけられます。また、フランジナットの座面の大きさは、六角ボルトと組み合わせて使用した場合の平ワッシャーの小型丸より大きく、みがき丸の大ワッシャーと同程度です。
そのため、ナットで固定する部分に外径サイズの制限が無い場合は、「六角ナット+平ワッシャー」よりも、フランジナットを利用する方が部品点数が減り、締結力も十分に掛けられることになります。
フランジナットの特徴(メリット・デメリット)
- ワッシャーとナットが一体化
- 座金部分の外径が大ワッシャーほど大きい
- 座金部の裏にセレート加工(ギザギザ)のものもあり、緩み対策に寄与する。但し相手面を傷つける
- 平ワッシャー併用のナットより意匠性がある。
以前の記事では、ナットの反対側にもなる、フランジボルトについてもご紹介しております。
「フランジボルトのJIS規格サイズ早見表」
フランジナットのJIS規格(JIS B1189)
JIS B1190:2014で制定されている、「フランジ付き六角ナット」(フランジナット)の規格サイズには、旧来から用いられるサイズ規格を付属書JA(規定)とされ、ISOの国際規格に準じたものが、現在のJIS規格になります。
- 付属書JA =旧来からの規格
- ISOに準じた現在推奨されているJIS規格
JISではISOの国際規格を推奨使用していますが、今でも主に流通しているフランジナットは付属書JAで規定されている旧来からのサイズになっており、ISOの国際規格に合わせた現在のサイズを見かけることはほとんどありません。
例えば、ISO規格のM10のフランジナットは工具を入れる部分の六角対辺は15mmとなっており、旧来品(主な流通品)では14mmとなります。
いつかは国際規格に合わせて変わっていく必要があるのかもしれませんが、日本で15mmのスパナやレンチはまだまだ少数派のため、旧来品の付属書JA規定を用いることが日本で使用するには適しています。
以下より、フランジナットのJIS規格別での詳細寸法を早見表にまとめています。紹介する順番と種類は以下のようになっております。
- 主流の付属書JA規格(並目)サイズ
- ISOに準じた「並目」サイズ
- ISOに準じた「細目」サイズ
フランジナット(並目)JIS-付属書JAの詳細寸法表
付属書JAはISOに準じない旧来からの規格サイズです。将来は廃止され、JISでは使用を推奨していません。しかしながら、今後も日本ではこちらの付属書JA規格が主流となることが予想されています。
M(呼び) | ピッチ ※並目 |
A六角 対辺 |
Bフランジ外径 (最大) |
Cフランジ厚み (最小) |
D高さ (最大) |
---|---|---|---|---|---|
M4 | 0.7(or JIS0.75) | 7 | 10.5 | 0.6 | 4.2 |
M5 | 0.8(or JIS0.9) | 8 | 12 | 0.7 | 5.0 |
M6 | 1.0 | 10 | 14 | 0.8 | 6.0 |
M8 | 1.25 | 12 | 17.5 | 1.0 | 8.0 |
M10 | 1.5 | 14 | 21 | 1.2 | 10.0 |
M12 | 1.75 | 17 | 25 | 1.4 | 11.5 |
(M14) | 2.0 | 19 | 29 | 1.6 | 13.5 |
M16 | 2.0 | 22 | 33 | 1.8 | 15.0 |
- 現在でも流通しているフランジナットの主流は旧来からの付属書JAです。
早見表を印刷したい場合は、「フランジナット(並目)JIS-付属書JAの詳細寸法表」(pdf版)を利用してください。
フランジナット(並目)JIS規格詳細寸法表
こちらはISOに準じた、並目(なみめ)の現在のJIS規格(JIS B1189:2014)サイズです。
M(呼び) | ピッチ ※並目 |
A六角 対辺 |
Bフランジ外径 (最大) |
Cフランジ厚み (最小) |
D高さ (最大) |
---|---|---|---|---|---|
M5 | 0.8 | 8 | 11.8 | 1.0 | 5.0 |
M6 | 1.0 | 10 | 14.2 | 1.1 | 6.0 |
M8 | 1.25 | 13 | 17.9 | 1.2 | 8.0 |
M10 | 1.5 | 15 | 21.8 | 1.5 | 10.0 |
M12 | 1.75 | 18 | 26.0 | 1.8 | 12.0 |
(M14) | 2.0 | 21 | 29.9 | 2.1 | 14.0 |
M16 | 2.0 | 24 | 34.5 | 2.4 | 16.0 |
M20 | 2.5 | 30 | 42.8 | 3.0 | 20.0 |
今後はISO規格に準じたこちらがスタンダードになっていくことが推奨はされていますが、フランジナットの現況の流通状況からして、当面は見かけることもないフランジナットです。
フランジナット(細目)JIS規格詳細寸法表
こちらはISOに準じた、細目(さいめ)の現在のJIS規格(JIS B1189:2014)サイズです。
M(呼び) | ピッチ ※細目 |
A六角 対辺 |
Bフランジ外径 (最大) |
Cフランジ厚み (最小) |
D高さ (最大) |
---|---|---|---|---|---|
M8 | 1.0 | 13 | 17.9 | 1.2 | 8.0 |
M10 | 1.0 | 15 | 21.8 | 1.5 | 10.0 |
M10 | 1.25 | ||||
M12 | 1.25 | 18 | 26.0 | 1.8 | 12.0 |
M12 | 1.5 | ||||
(M14) | 1.5 | 21 | 29.9 | 2.1 | 14.0 |
M16 | 1.5 | 24 | 34.5 | 2.4 | 16.0 |
M20 | 1.5 | 30 | 42.8 | 3.0 | 20.0 |
- M10とM12の細目にも2種類のピッチが規定されています。(ピッチ以外は同じです。)
この記事は機械加工の中でもアルミフルビレット技術を駆使して独自の観点によって「独創性のアイテム」を造り出す、alumania(アルマニア)の専門スタッフにより執筆されています。
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