ボール盤の回転数を変更するためには、ボール盤の頭(ヘッド部分)の中にある「ベルトの位置を変えることによって、回転数が変更」できます。
ほとんどのボール盤では主軸とモーター部がベルトで連結されていますので、それぞれの軸にある、お互いのプーリーの外径違いによる対比によって回転数の違いが生じます。(モーター自身の回転数は変わらず一定です)
回転数(ベルトの位置)を変更する手順
- ボール盤にあるプーリーの段ごとの回転数を確認する
- ヘッドカバーを開く
- モーター側のロックを緩めます
- モーター側を手前に動かし、ベルトに遊びを作ります。
- 主軸側とモーター側のプーリーの同じ段にベルトを移動します。
- モーター側を戻して(押して)ベルトを引っ張ります。
- ロックをかけてモーターが移動しないようにします。
- ヘッドカバーを締めて試運転して回転数が変わったことを確認
ボール盤のヘッドは主軸とモーター側に(V型)ベルトでつながっています。ヘッドカバーを開けてベルト位置を変更します。それぞれの手順を解説していきます。
変更したいプーリー位置の確認
ほとんどのボール盤にはプーリー位置ごとの回転数表が主軸の上に表記されていますので、それを基に変更するベルトの位置を確認しておきます。
なお、ここで使用したボール盤では、回転数は4種類の中からしか選べません。
1段目(一番上):2,350rpm
2段目:1,500rpm
3段目:950rpm
4段目 (一番下) :560rpm
ロックを緩めて、モーターを移動します。
モーター側はロックがかかっていますので、ロックを外してから、主軸側に向かってモーターごと移動させます。
すると、お互いのプーリー同士の間が縮まって(距離が短くなって)ベルトがたわみます。(遊びができます。
この遊びができることによって、ベルトがプーリーの段の位置を変えることができるようになります。
ベルトのプーリー位置を移動します。
たわんだ状態(遊びのある状態)でベルトを変更したい回転数に該当するプーリーの段に嵌めていきます。その際に主軸側とモーター側は必ず同じ段に合わせてください。
画像のように主軸側は1段目、モーター側は4段目になるよう組み合わせはできません。ベルトと両側のプーリーが平行になる組み合わせでしか使用できません。
モーター側を移動してベルトに張力を与えます。
プーリー位置が変更出来たら、モーター側を元に戻してベルトに張力を与えます。張力といっても、適当な力で大丈夫です。モーター側のプーリー直接手で押しながらロックすれば十分な張力になります。力任せにベルトを張る必要はありません。
必ずベルトが張っている状態で最後にロックしてください。ロックしていないとベルトが緩んで主軸が充分に回転できません。
試運転をして回転数が変わったことを確認してください。
ヘッドカバーを戻して、主軸を回転させてみてください。回転数が変わったことが確認できれば完了です。
回転数が変わる原理
回転数が変わる原理は自転車の変速機と同じで、取り付けるベルト位置によって、回す原動力のモーター側と回される側の主軸との回転比率の違いによって変わります。
最初に、1:1 (モーター1回転、主軸1回転)を基準にして考えれば以下のようになります。
- 1:2 (モーター1回転、主軸2回転)
モーター側が1回転するのに対して主軸を2回転させれば
「高速回転になり低トルク(力が弱い)」 - 2:1 (モーター2回転、主軸1回転)
モーター1回転で主軸は半周しか主軸が回れなければ
「低速回転で高トルク(力が強い)」となります。
大抵のボール盤では4段か5段のプーリー(卓上ボール盤ですと3段が多い)があって、そのプーリーの各段の位置にベルトを引っ掛けると、およそその回転数になります。
選べる回転数が少ないのはなぜ?
こちらのボール盤では設定できる回転数が2,350rpm、1,500rpm、950rpm、560rpmの4っつとなっており、切削工具ごとに適正な細かい回転数へ調整することはできません。
しかし、ボール盤の場合はハンドルを使って手で送りますので、送り速度が自由にコントロールできます。そのため回転数は適当になります。ベルトの回転数を変更するのが面倒な場合は、ほとんどの場合は500~1,000rpmの間に設定しておけば、大抵のドリル径はカバーできます。
また、使用目的によっては厳密には異なりますが、使用するドリルの直径が3~10mmくらいの間でしたらセンタードリルを使っても回転数は1,000回転前後で十分です。
ドリルの直径や刃先の種類ごとで適正な回転数はあるものの、都度回転数を変えるのは手間でしかありません。
回転数は一定でハンドルの送りで送り速度がダイレクトに調整できますので、実際のところはあまり回転数を変えるシーンは少ないです。
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過去記事の『穴あけ前の下穴加工センタードリル』も参考にしてください。
この記事は機械加工の中でもアルミフルビレット技術を駆使して独自の観点によって「独創性のアイテム」を造り出す、alumania(アルマニア)の専門スタッフにより執筆されています。
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