マイクロメーターの中でも内径を測る測定器として、三点式内径マイクロメーターの「ホールテスト」があります。内径測定によくある先端がピンになっているマイクロメーターのピンタイプとは違い、ホールテストは深い穴の奥や底の径を測定できる利点があります。
ちなみにマイクロメーターと呼ばれるのは「1千分の1ミリ」1/1000(0.001)㎜まで測定するための測定器全般を指しますので、様々な種類があります。
今回はその中の「内径測定用マイクロメーター式ホールテスト」の使い方と各部についての解説です。
人間の髪の毛は日本人の平均で0.08㎜(ほぼ0.1㎜)と言われています。マイクロメーターはその先の0.001㎜を測定するものです。
内径測定器としてはキャリパー型のピンタイプが一般的です。
ホールテストの解説の前に、内径測定のマイクロメーターといえば最も代表的なのは「キャリパー型のピンタイプ」になりまして、これは見たことある方は多いかもしれません。
こちらのタイプは汎用性も高いですし、測定範囲が25mmと広く(大きい)ため大抵はこちらをサイズごとに揃えていけば十分です。(ホールテストは以下で説明しますが測定範囲は狭く、用途も特殊になるためです。)
汎用性は高いもの、ピンタイプにもデメリットがあります。
ピンタイプのデメリット
ピンタイプの欠点は穴の先端しか測れないといった部分になります。すなわち、深い穴の奥の径が測れないデメリットがあります。
貫通穴などは問題ありませんが、穴の奥の平行度や円心度を正確に把握したい場合は役足らずになりがちです。ちなみにこのタイプは先端ピンの長さが4.5㎜です。
そこで登場するのが「ホールテスト」です。
深い穴の奥底の直径や、他の部品との嵌めあいがあるような複合する部品構成である場合の測定に時折必要になるのが、【三点式内径マイクロメーター】の「ホールテスト(ホールテスター)」になります。
それではホールテストの各部を見ていきます。
ホールテストの各部と仕組み
「マイクロメーター」といえばお馴染みのダイヤルを回してノッチがカチカチを鳴るまで回すといった作業になりますが、ホールテストの場合は2本または3本の超硬ピンがダイヤル(ハンドル)を回すことで同時に飛び出してきます。
穴に入れてダイヤルを回すと、この3本のピンが内径に均等に当たって止まります。
上と横から見た構造
イラスト上の3か所の黄色部分がピンの部分になります。貫通していない深い穴に対して奥まで突っ込むことができ、底の内径を測ることができます。3点が接触することで自動的にセンタリングされて正確な数値が測定できます。
ホールテストの使い方手順
- 測定したい内径に先端を入れる
- ダイヤルを回す
- 数値を読み取る
測定対象物で適当なものが見つからなかったため、すり割りが入った加工物になってますが、要領としては同じです。
測定したい内径に先端を入れる
ダイヤルを回していきます。
ダイヤルを回してピンが広がっていくことが確認出来たら、ダイヤルが止まってカチカチと音が鳴るまで回していきます。
数値を読み取ります。
分かりすいよう先ほどの画像では寝かしていましたが、ここではホールテストを立てたほうが測定しやすいです。ダイヤルのノッチがここで止まったところですが、この状態で読み取る寸法は果たして何㎜となるでしょうか。
こちらのマイクロメーターでは、ダイヤルは1周回して5/10(0.5)㎜になります。1周1㎜なら分かりやすいですが、小径のほとんどは0.5㎜です。
画像上の縦線の長いものと短いものがセットで0.01㎜で、一つの目盛り間は0.005㎜になります。0.001ではありません。
正解は…
ここから読み取れる寸法は「22.453」になります。
でも…22.454かもしれません。というのも、マイクロメーターでは1/1000単位は正確には5/1000(0.005)mmずつしか目盛りがなく、少し想像も加えて22.453としています。
室温の変化だけで加工品のほとんどはμマイクロ単位(1/1000㎜)は簡単に変わってしまいます。
現在の工業製品の中で1/100(0.01)㎜は大きいですが、1/1000(0.001)mm単位は相当精密、特殊なものでない限り、コントロールする理由はないレベルです。
この記事は機械加工の中でもアルミフルビレット技術を駆使して独自の観点によって「独創性のアイテム」を造り出す、alumania(アルマニア)の専門スタッフにより執筆されています。
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