ごく小さい隙間を測定するために利用される「シックネスゲージ(すきまゲージ)」は、1㎜未満のスキマの距離を測りたいときに使用します。利用するゲージの厚み次第ですが、精度は0.01㎜単位で測定できます。
工業製品において「スキマ」は接触する部品同士に対して意図的に設けられます。その主な目的としては、次に述べるような目的がありますす。
- 可動部などの接触に対して摩耗防止や低減
- 素材違いや部品同士の熱膨張したときの少しの余裕
- 部品同士の生産公差の確保と調整
これらのスキマはごく小さい距離間になりやすく、その隙間の距離や大きさを測ることができる「シックネスゲージ(すきまゲージ)」は生産現場では欠かせないものです。
完成した製品が意図したスキマの距離になっているかを確認するために約1㎜未満の隙間に対して利用します。ここではその使い方も含めてご紹介していきます。
また、ノギスの内側ジョウでは入りきれない隙間(クリアランス)も多く存在します。ノギスの場合は1㎜以下のスキマにはジョウが入ることは少ないため、そんなときにもシックネスゲージが活躍します。
シックネスゲージ (すきまゲージ) の外観
シックネスゲージはペラペラのステンレス製でその厚みを持ったプレートの集合体です。この1枚1枚を隙間に差し込んで使います。測定する(求める隙間の)寸法の考えとしては以下になります。
「そのゲージが入る」=その厚み以上の隙間
という考え方になります。
そのため、隙間にゲージが入らなくなるまで差し込んでいき、入らなくなったら、一段小さいゲージを当てて入るかと、繰り返していくことになります。
1枚1枚の板の表記がその板の厚みになっています。
ホルダーから引き出すと0.04mmから0.3mmまでのステンレス製のゲージが9枚あります。もちろんこれはシックネスゲージの種類によってまちまちですが、記載の数字はゲージの厚みを表しています。
- 0.30㎜
- 0.20㎜
- 0.15㎜
- 0.10㎜
- 0.08㎜
- 0.07㎜
- 0.06㎜
- 0.05㎜
- 0.04㎜
重ねても使用できますので、例えば0.19mmを作りたい場合、0.1と0.05と0.04の3枚を重ねて使います。
0.1+0.05+0.04=0.19㎜となります。
シックネスゲージの使い方(隙間を測る)
例)金属同士の隙間を測る
ちょうど手頃なものが無かったので、ハサミの支点部分の隙間を測ってみます。ハサミは可動しますので、必ずクリアランス(すきま)を持っているためです。ただし、先端は接触しますので隙間の大きさが変わらない支点部分のクリアランスを調べていきます。
まずは適当にペラペラのゲージを隙間に差し込んでいきます。
「入らなくなったら、隙間はそのゲージの厚み未満」となるので、ゲージを徐々に変えて、入らなくなるまで厚みを変えて差し込んでいきます。
0.08の上は0.09になるのですが、この隙間ゲージには0.09㎜がありませんでした。そこで、0.04と0.05を重ねて0.09㎜を作ります。
重ねて使用できる
重ねた0.09㎜の状態で差し込んでみたら隙間に入りました。画像では0.04しか見えませんが、0.05と2枚重ねてますので、0.09が入ったことになります。
測定結果
結果的には、0.09㎜が入り、0.10㎜は入らなかったので、この隙間は0.09㎜となります。0.09㎜は9/100㎜「ひゃくぶんの9ミリ」で0.1㎜より小さい値です。
測定対象物による違いはありますが、ノギスで簡単に測れないような隙間には本当に重宝します。0.1㎜は小さい印象を持たれると思いますが、精密部品の工業世界では大きいほうです。
その他の使い方例
自動車のエンジンなどでは、カムとバルブが接触する(バルブクリアランス)部品同士には1/100mm単位で規定の隙間(クリアランス)を持たせる必要があります。そのため、特にエンジン整備では必須の工具になってきます。
すきまゲージの使い方まとめ
- ゲージを選んで、すきまに入らなくなるまで差し込んでいく
- ゲージが入る=その厚み以上のすきまがあるということ
- ゲージは重ねて使用できる
- 測定精度単位は1/100単位(0.001㎜)
この記事は機械加工の中でもアルミフルビレット技術を駆使して独自の観点によって「独創性のアイテム」を造り出す、alumania(アルマニア)の専門スタッフにより執筆されています。
この記事の前後リンク
- 個人情報やプライバシーを侵害するような情報
- 閲覧される他の方に不快を与えるような内容や他の方に対しての暴力的な言葉や中傷
- 著作権の侵害・法律や倫理に反する行為
- 個人的に偏ったご意見や見解、他社を含む商品・サービスの不平や不満
- 個別記事の初期投稿日から一定期間を過ぎ、コメント投稿を受け付けていない場合
- 商品の感想または不具合など、個々に対応する必要がある案件
- 個々の記事に関係のない内容や話題の乱雑な投稿、迷惑なオフトピック
- その他、投稿時期のAI判別による不正防止と時事的な内容に抵触する場合など