昨今の自動車では安全のためにフロント運転性と助手席のエアバッグだけでなく、側面衝突などにも効果の高いサイドエアバッグカーテン装着車も増加しています。
そんなサイドエアバッグカーテン装着車のAピラーカバーを取り外そうとすると、クリップで簡単には外れないようになっています。
非装着車と変わらずピラーからのカバー剥がし手順は同じですが、途中でピラーから剥がしきれなくなります。これは内部にクリップで止まっているためです。
サイドエアバッグカーテン装着車の場合、エアバッグカーテンが開いた際にAピラーカバーが外れて飛んで行かないように、安全のためイカリ型をしたクリップが用いられることが多くなりました。そのため、今までのようにAピラーカバーが簡単には外せない構造になっています。
フロントのAピラーを車室内から見た際にボディーの面を見せないようにするカバー「Aピラーカバー」は、ETCやドライブレコーダーをフロントガラス上部に取り付ける際に、配線の取り回し(配線隠し)用として是非とも外したい部分になります。
そこで、このイカリ型のクリップの構造を見ながら、Aピラーカバーの外し方について解説していきます。
このイカリ型クリップを外すには構造を理解していないと綺麗に外すのが難しく、面倒になって切断してしまう方も多いですが、正しく外せば再利用が可能です。
新品でも部品単価は安いものではありますが、用意する面倒を考えれば再利用したい部品です。
ここでの解説は日産車のデイズ(4AA-B45W)で作業を行った解説となっております。最近の傾向ではサイドエアバッグカーテン装着車は同様な構造(クリップがイカリ形状)になっています。
また、別のタイプではAピラー側の穴に差し込んであるクリップの台座側を回転させて外すものもあります。
ここではサイドエアバッグカーテン装着車でイカリ形状のクリップであった場合の「Aピラーカバーの外し方」についての解説となります。
サイドエアバッグカーテン装着車の場合も内部にある2か所のクリップによって固定されていますが、上部は差し込んであるだけなので少し引っ張ればすぐに外れます。
しかし、その奥にある下側のクリップ(イカリ型)は、Aピラーカバーをそのまま引き剥がすだけでは取り外せないようになっています。
このイカリのような形状をしたクリップ(以下イカリ型クリップ)はAピラーカバー自体の裏のボス内に90度ひねられた状態で差し込まれていますので、そのままいくら引っ張っても破壊されるだけで綺麗に外すことはできません。
Aピラーカバーの取り外しの際には、このイカリ型のクリップの頭部分を90度回転させて引き抜くことが必要になります。その構造と手順を解説していきます。
Aピラーカバーの取り外し手順
- Aピラー上部に内張り剥がしなどを挟んで隙間を作る。または車室内側にそのまま引っ張って内部の上側クリップを外す。
- 奥にあるイカリ型クリップの平らな部分をロングノーズプライヤで掴み、そのまま90度回転させる
- クリップの頭がボス内で90度回転し、ボスの穴(長方形)に合わせて頭を抜き取る
- Aピラーカバーの最先端がダッシュボード側に刺さっている状態が多いので、Aピラーカバーを上または手前側に動かして先端の差し込みを抜いて取り外す
手順1:上クリップ部の取り外し
内張り剥がしを差し込んで上部に隙間を作る(差し込む)
車種によってはドアモールを先に周辺だけ外した方が作業が楽な場合もあります。
上部側のクリップが外れた状態
上部クリップ(赤色)の部分は差し込んであるだけです。(ここでの解説に使用した日産のデイズの場合)
そのため、簡単に外れます。
手順2:下側のクリップを90度回転させる
手順3:ボス部分から抜き取る
下から見るとこのような状態にして、Aピラーカバーのボス(長方形の穴)からクリップの先端を抜き取ります。
Aピラーカバー裏のボスの長方形の窓から引き抜きます。そのため、必ずイカリ型クリップをひねっておく必要と、長方形の窓に対してイカリ部分が抜ける位置に合わせてあげなければ抜けない構造になっています。
手順4:先端の差し込みを抜く
Aピラーカバーの先端はダッシュボード側に爪形状によって刺さっていることがほとんどなので、爪の方向に合わせて上や手前にAピラーカバーを平行移動(スライド)させてあげれば外れます。
Aピラーカバーに埋め込みツイーターなどがある場合は、コネクターも外すことでAピラーカバーが単体状態で車体から外れた状態になります。
Aピラーカバーが完全に外れた状態
緑のクリップがサイドエアバッグカーテン装着車に特有のクリップになっています。色や形状はメーカー、車種によっても若干異なります。
取り付け時もクリップをひねって入れます。
Aピラーカバーを戻す時は作業の逆の手順にはなりますが、必ずイカリ型クリップを正しく取り付けてあげる必要があります。
入れるときもひねってボス内にイカリ型クリップの頭を入れることが必要になりますが、あまりにもクセが付きすぎて、ボス内でクリップの頭の戻りが悪い場合は部品自体を交換する必要もあります。
Aピラーカバー取り外し時の推奨工具
- 内張り剥がし
- ロングノーズプライヤ(ストレート/アングル)
一般的なペンチやプライヤーではイカリ型クリップまで届かないことが想定されますので、ロングノーズプライヤを用意しておくことが望ましいです。ひねるためにはそれなりにクリップを掴む(保持する)力も必要になるためです。
内張り剥がしは特に用意しなくても、Aピラーカバーを外すことだけ考えれば、手が入れば必要ありませんが、Aピラーカバーのみを外すということは、何かの作業内の一つなだけなので、その他の内張りを剥がすことも考えれば、やはり用意しておいて損はしないものになります。
Aピラーカバー装着時のロック状態
こちらのイカリ型クリップが作用してAピラーカバーがロックされる状態は、クリップの根元にある膨らみ部分にAピラーカバー裏のボスの長方形穴がハマることによってロック状態になります。
Aピラーカバーを取り付ける際には、この膨らみにボスが入ったことを意識しながら押し込んであげる必要があります。
まとめておきますと
Aピラーカバー裏のボスの長方形の穴に対してイカリ型クリップの頭は横方向にしか入りません。
そのため、イカリ型クリップのストレート部分をプライヤーなどで掴んでひねってあげることで、頭を90度にねじることができます。
Aピラーカバー装着の際には、イカリ型クリップの頭をねじった状態でAピラーカバー裏のボスの長方形の穴に入れた後は、塑性効果によってAピラーカバー側のボス内部で方向が戻り、また外れなくなります。(説明画像左側の状態)
今後外す時に便利なように頭をカットさせてしまった方が便利だというようなことはしないで、万が一のための安全機能を持った構造クリップなので、正しい外し方で正しい取り付けを行えば何度でも再利用できる部品です。
必ず搭乗者の安全のためにもAピラーカバーを外した時はしっかりとイカリ型クリップの構造を理解して取り付けておくことが必要です。
この記事は機械加工の中でもアルミフルビレット技術を駆使して独自の観点によって「独創性のアイテム」を造り出す、alumania(アルマニア)の専門スタッフにより執筆されています。
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