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ガラスフィルムの9Hは何? 10Hで傷が付くか検証

iPhoneのガラス面についた傷
ガラスフィルムの9Hは何?

スマホの強化ガラスフィルムを選ぶ際に、パッケージや商品サイトに「これでもか!」というほど大きな表記で「9H」や「10H」を目にすることがあると思います。

この9H、10Hの意味は「鉛筆硬度」(鉛筆の芯の硬さ)を表しています。

分かりやすく言うと、「ガラスフィルムの表面は”鉛筆の芯の硬さ”でいえば9H、10H相当ありますよ」ということになります。これはダイヤモンドを10とした鉱物硬度ではありません。HBや2Bなどの鉛筆の芯の硬さの表記です。

そのため、ガラスフィルムの9Hを「ダイヤモンドの次に硬い」と考えるのは間違いであり、”9H”は誤解を誘発する表記です。

9Hの意味だけ知りたかった場合はここまでで終わりです。以下で詳しく解説していきますが、まず以下の点を念頭にいれておけば分かりやすくなりますので、最初にまとめておきます。

  • 「鉛筆硬度」と【鉱物硬度】は尺度が異なる
  • 9HなどのHは「鉛筆硬度」を表している(Hが付いているか付いていないか)
  • 【鉱物硬度】は「あるものでひっかいたときの傷のつきにくさ」です。
  • ”ダイヤモンドが10”は【鉱物硬度】、ガラスは”5”程度

「鉛筆硬度」と【鉱物硬度】の違い

まずは”9H”という尺度を知るために、鉛筆硬度と鉱物硬度の違いについて解説していきます。

表記に”H”が付いている場合は、鉛筆の芯の硬度(濃度)です。鉛筆の先に硬さ(濃さ)が表記されいている2BやHBなどの表示です。

鉛筆の10H
鉛筆に印刷されている硬さ(濃度)の表記

一方、ダイヤモンドを10とした数値で表すのは【鉱物硬度】(モース硬度)です。これは”あるものでひっかいた時にキズがつくか”という尺度になり、鉛筆の濃度の話とは全くことなります。

  • 鉛筆硬度=鉛筆の芯の濃度(硬さ)で10H~10Bで表す
  • 鉱物硬度(モース硬度)=「ひっかいたときにキズがつくか」1~10で表す

鉛筆の濃さを表すための硬さが「鉛筆硬度」

鉛筆の芯は黒鉛と粘土を混ぜて焼いたものなので、もともとは黒色のみでした。そのため、黒鉛と粘土の比率で硬さが変わり、色の濃さも異なります。
硬度=濃さ (硬い=薄い)(柔らかい=濃い)

一般的にはHBや2Bなど「B」の濃さが利用されやすいものです。Hの領域になると、硬すぎてやはり一般的にはHBくらいまでを選ぶ方が多く、2H以上は美術系でデッサンや製図などに利用される領域になってきます。

鉛筆硬度の濃度と種類

鉛筆硬度はJIS規格では17種類ですが、ヨーロッパでは22種類で硬さも違います。鉛筆硬度は以下の22種類で分けられます。
10H・9H・8H・7H・6H・5H・4H・3H・2H・H・F・HB・B・2B・3B・4B・5B・6B・7B・8B・9B・10B

鉛筆硬度の10Hは金属より硬いのか

鉛筆削りはカッターが付いている
鉛筆削りの刃はカッターの刃と同じです

鉛筆削りの削る部分はカッターが付いています。鉛筆削りはカッターの刃で削っています。そのため、鉛筆硬度の10Hはカッターより硬いわけがありません。すなわち、ガラスフィルムの9Hや10Hの表記は「鉛筆の芯の最高の硬さ」がありますよ、それ以上ですよと謳っているのが正解なのですが、それは大した”硬さ”があるわけではないのです。

なお、ここで言う”硬さ”は「引っ掻き傷」に対してとなります。物体を押したとき、叩いたときの硬さではありません。

”傷のつきにくさ”が【鉱物硬度】

ひっかき傷に対して表す数値は、Hを用いません。数値だけで表します。
ダイヤモンドを「10」としたモース鉱物硬度(モース硬度)において、ガラスの表面硬度は「5」程度になります。

鉱物硬度(モース硬度)ではHは一緒に記載しません。

鉱物硬度別の身近なもの

数値だけで言えば、カッターの方が硬いため、カッターでガラスフィルムの表面に傷がつくことになります。
しかし、ほとんどのガラスフィルムは生産時に表面にコーティングを行っているため、新品の時は傷が付きにくくはなっています。また、ガラス自体にも様々な手法で表面強度を上げているため、モース硬度上では近い硬さのカッターでも傷がつきません。

なお、金属の鉄を4としていますが、焼き入れや生産方法の違いで7近くまで鉱物硬度を上げることができます。鉄以外の金属も硬度を上げるための様々な技術があります。

ガラスフィルムの硬度表示の勘違い

9H表記のガラスフィルムパッケージ
9HのHは鉛筆硬度を表しています。

鉛筆硬度と鉱物(モース)硬度を混在させている

多くの人は「ダイヤモンドは10」か「ダイヤモンドは10H」なんて覚えているわけもなく、Hが付いていれば硬い【ハード】のHのイメージがあるため、ダイヤモンドは10Hだと思い込みます。

ダイヤモンドは「地球上で最も硬いもの」で「10」という2つのキーワードだけの記憶があるため、「9H」がダイヤモンドに近いほど硬いのかと思い込ませるうまい表記とも言えます。一方、10Hにしてしまうとダイヤモンドと同じ硬さであると勘違いされるためもあってか、ガラスフィルムの表記には10Hよりも9Hの方が多くみられます。

そもそも尺度が違うため比較するのもお門違いです。

間違い、騙している、ということにはなりませんが、勘違いを誘発している部分ではあり、逆の言い方をするとガラスフィルムの表面硬度は「鉛筆の最高硬度しかない」と謳っているとも言えてしまいます。

これを知らずに9Hや10Hを表記している商品は山ほどありますし、ショップの店員さんも理解している人はほんの一握りです。ただし、9Hの表記は嘘ではありませんし、意図的に騙そうともしていません。単に誤解を誘発させる表記なだけで、それで良いのかどうかという論点にはなります。

「9H、10Hのガラスフィルムに傷がつくか」を検証する

公園の砂で傷が付くか検証

公園の砂
公園の砂で検証する

例えば、近所の公園にある砂場の砂の中には鉱物硬度でガラスを超えるものが沢山詰まっています。その公園の砂でガラスフィルムの表面を指でこすってみます。

砂をこすってガラスフィルムに傷がつくか
砂の粒度が大きかったですが、結果は同じです。

少し大粒でしたが、砂をガラスフィルムの上に載せて指でこすっていきます。

砂をこすってガラスフィルムに傷がつくいた
ガラスフィルム表面に付いた無数の傷

簡単に傷が付きました。

いとも簡単に傷だらけです。ちなみにここで使用したものは9Hの表記がある、新品のガラスフィルムです。このようにガラスフィルムの傷が付かないということはありえません。

9Hのガラスフィルムに10Hの鉛筆でひっかいて検証

鉛筆の9Hと10H
10Hを使用して検証

次に、9Hと謳うならば「10Hの鉛筆」で傷を付けることができる理屈にはなります。そこで10Hの鉛筆で表面をこすっていきます。

10Hの鉛筆でひっかいて傷がつく

傷はつきません

いままでの解説から予想できる通り、10Hの鉛筆でひっかいてみたところでガラスフィルムに傷はつきません。なぜならHの表記は勘違いを誘発するために9Hと表記しているだけで、ガラスは鉛筆硬度に換算すると15H以上になるそうです。

9Hのガラスフィルムにケガキ針で傷がつくか検証

ケガキ針
金属に線を引くことができるケガキ針

ケガキ針は金属の鉄板などに線をひくもので、先端は「超硬」になっています。そうでなければ多くの金属に線を引くことができません。そのため、先端部分は6.5Hや7Hに近い値を持ちます。

”砂”には様々な硬度の高い鉱物が大量に含まれています。鉛筆では敵いませんでしたし、カッターも敵いませんので、先端が超硬になっている金属の「ケガキ針」で傷つけてみます。

ケガキ針でひっかいて傷がつく

簡単に傷を付けることができる

この検証の中では最も簡単に傷が付きました。先端が針になっていることもあって応力が集中しやすく、傷つけることよりすぐに割れてしまうほどでした。

スマホの画面もガラスなので傷つきます。

iPhoneの画面に傷
iPhone11 Proの裸状態で付いた傷

上記画像はiPhone 11 Proですが、(ケースやガラスフィルムなどを付けない)裸の状態で使用していたら、気づかぬうちに付いていたディスプレイ面の傷です。ゴリラガラス、強化ガラスでも傷はつきますし、割れます。

iPhoneの画面に傷の拡大
こすれ傷もひっかき傷も付きます。

スマホのディスプレイ(画面)は強化ガラスでも、その表面より硬いものに接触すれば傷がつきます。
そのため、何も付けない(裸状態)でスマホを利用するよりは、ディスプレイを保護できるガラスフィルムの装着は絶対的にお勧めです。

ガラスフィルムの実態

とはいえ、巷には様々な種類のガラスフィルムがあり、選ぶのにどう判断して良いかわからないシーンが多々あろうかと思います。

高額なガラスフィルムは魅力的な謳い文句の商品が様々ありますが、全般的に後付けするガラスフィルムは薄くなっていますので、割れや欠けも簡単に起こります。もちろん傷も付きます。

ガラスフィルムの場合は、その高評価のレビューに「全然割れない」「全く傷つかない」「1年も持って満足」など見られますが、これは検証した商品種類の比較ではありませんし、その利用シーンや使い方も一つとして同じではないため偶然なだけとも言えます。

安価商品に部類する価格帯でもガラスフィルム系は素材の性能面では大きく変わりません。
比較的リーズナブルの製品を「割れたら交換」または「定期的に交換」する方がオススメとも言えます。そのため、購入時に予備でもう1枚用意しておくこともお勧めです。

保護ガラスフィルム選びのポイント

  • スマホの画面(ディスプレイ表面)はガラスのため傷が付きます
  • 本体画面の保護のためにガラスフィルムは大変効果的
  • 高額なガラスフィルムも素材の性能はほとんど変わらない
  • 割れたら即交換。または定期的な交換がオススメです。
  • 薄いものよりも厚みがあるほうが割れや欠けが発生しにくい

過信されやすいとも言える、スマートフォンの「保護強化ガラスフィルム」は非常に効率的で操作感も良好なアイテムです。
しかし後付けするものであり、薄さを求め更に欠けや割れが発生しやすく、ガラスである限りその表面にはいずれは傷も付いてしまいます。やはり消耗品としての定期交換をお勧めするものです。

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