色には「色料の三原色と光源の三原色」があります。その色料(色素)については顔料と染料で大きく分かれます。(色料CMYKと光源RGBの違い)
ここではその「顔料と染料の違い」について解説していきます。
「物体に色を付ける(着色する)方法」として、真っ先に浮かぶのが「色を塗る」、塗装になると思います。塗装には塗料を使用しますが、その色の元(色素)には顔料が用いられます。その他にも「色を染める」とも言います。この場合の色素には染料を使用していることが多くなります。
「塗る」と「染める」の言葉の違いも関係しています。
「色を塗る」と「色を染める」の言葉の違いは、厳密には色を付けるための原料違いからくるもので、それは顔料と染料の違いからになります。顔料も染料もどちらも色料です。要するに色料は染料と顔料の2つに分けることができます。
では、顔料と染料は何が違うのか?を極力シンプルに解説していきます。
顔料と染料の違いは分子構造が違います。違いを単純に理解できるように、ここでは難しい用語は使用せず分子レベルの詳細も省いておりますので、一般的にはこの程度で十分かと思われるところまでで留めております。そのため、もっと深く知りたい方は文献などでお調べください。
顔料と染料の違い
物を着色する際には、顔料も染料もどちらも液体のものを使用することがほとんどになります。そのため、着色溶液の1滴の溶液として顔料の1滴と染料の1滴の中身をイメージで表すとこのようになります。
1滴の溶液の中に数多くの色の粒を持っているのが顔料のイメージ状態です。
一方、染料は1滴の中に溶け込んでいます。液そのものに色が付いています。詳細は除き、「色が溶けているか」「色が溶けていないか」の違いになります。
顔料と染料の違いを最もシンプルに言い現わすと
- 顔料は色の粒が集まっています。【不溶性】
- 染料は色が溶けています。【可溶性】
違いを一言で言えば、「不溶性(顔料)か可溶性(染料)」の違いになります。
次に顔料と染料とで物が着色された状態の違いを見ていきます。この可溶性と不溶性の違いで出来上がった着色された状態は変わってきます。
着色後の状態の違い
顔料と染料では着色した状態での違いがあります。それぞれの着色後の状態としては以下のような違いのイメージになります。素材を糸のように丸とした断面のイメージも参考にしてください。
顔料の場合【不溶性】
顔料(粒子)は水や油に混ざりません。
溶液の中には色の粒子が詰まっている状態です。
顔料で着色された素材の状態イメージ
ペンキなどの塗料には溶剤の中に顔料としての色の粒子が詰まってペンキの色を作っています。色を塗ると、ペンキが乾いた後は塗った素材の上に顔料が並んで溶剤の主剤が固まった状態になります。
顔料でイメージ付きやすいのは自動車のソリッドカラーかもしれません。ボディーの色が赤であれば赤の粉が出てきます。※ソリッドでもその上にクリアー塗装されていれば白い粉になります。
素材の上に乗っているだけが顔料の特徴です。
絵の具の色を混ぜて色が変わる原理は、個々の粒子単位はそのままの色で変わっておらず、粒の数の比率が変わっているだけです。
染料の場合【可溶性】
染料は水や油に溶けます。
溶液の中では色素が溶けて溶液そのものの色が変わっています。
染料で着色された素材の状態イメージ
染料のイメージが強いのは「服を染める=繊維が染まる」ことになります。
服を洗っても簡単には色落ちしないしないのは、繊維そのものの色を変えてしまうためです。(正確には分子として結び付きます)
素材そのもの色を変えてしまうのが染色の特徴になります。
染料としての透明なのに染めると色が変わるものもあります。これは染料に漬けた(染めた)後に、乾燥する過程で酸素と結びついて分子構造が変わるためです。
染料で染められない(混ざらない)ものもあります。
染料は先にも説明した通り、原料素材そのもの(水や油)に溶けることができます。しかし、金属などには溶けこむことはできません。混ざらない素材への着色方法としては素材の上に載せる塗装などの方法になりますが、塗料にも染料タイプがあります。同じようにサインマーカーにも顔料と染料、油性、水性等さまざまあります。
染料タイプの塗料で着色する場合、混ざることができない素材に対しては表面にコーティングしただけの状態で硬化していることとなります。硬化しているのは染料が溶けたクリアーなどの主剤です。
染料が混ざらないものの例
塗装の「キャンディーカラー」と呼ばれる半透明の透かし塗装は染料です。
本物の飴のキャンディーで例えると、飴が固体(溶剤)であり+染料で色を構成しています。
※飴の場合はその味(果物)のイメージ色で着色(染色)されていることがほとんどです。食品の半透明系は染料が利用されることが多くなります。
顔料と染料を使った身近なもの
身近で利用される製品や見かけるもののほとんどが着色されています。その着色するための色料に染料と顔料が用いられ、それぞれの特徴別に用途が分かれます。身近なものを例にするとそれらの特徴違いの傾向が掴めます。
顔料で着色されるもの
- 自動車のボディー塗装
- 絵の具やペンキ
- クレヨン、色鉛筆
- 口紅、ファンデーション
- 油性マジック
- 標識
染料で着色されるもの
- 繊維(衣類)、皮、色付き紙(※折り紙は表面に顔料)
- 水性ボールペン、油性マジック
- ブリーチ(染毛剤)
- アルマイト
プリンターのインクには顔料タイプと染料タイプがあります。プリンターインクの場合は相手が紙なので、顔料でも染みこみますがイメージとしては紙の上に載っている状態です。顔料の方が色が強くだせる傾向にあるため、黒系は顔料、カラー用には染料と分けるプリンターもあります。印刷で用いられる染料は顔料と比べると水に弱く対候性も低くなります。
顔料と染料の違いまとめ
- 色素は顔料と染料に分けられる
- 顔料は不溶性で色の粒子が詰まっている。溶剤に溶けない
- 染料は可溶性で色が溶け込んでいる。溶剤に溶ける
- 「塗る」は顔料を利用していることが多い
- 「染める」は染料を利用している
- 大別は簡単でも顔料と染料の利用方法は複雑
身の回りだけでなく、世の中には色彩で溢れています。色というのは本当に奥が深く、新しい技術も常に開発されております。しかし、その元となっている色素は染料と顔料の2つに分かれ、その違いの簡単な特徴は知っておくと何かと役に立つときがあります。
マジックなどのサインペンも水性・油性それぞれに染料と顔料があるように、絶対にこれには顔料でこれには染料と分けることが断言できない時代にもなっています。
この記事は機械加工の中でもアルミフルビレット技術を駆使して独自の観点によって「独創性のアイテム」を造り出す、alumania(アルマニア)の専門スタッフにより執筆されています。
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