一般的な製品に用いられるアルミの表面には人工的に処理を施す「アルマイト」と呼ばれる酸化被膜があります。アルマイトはアルミの表面処理として耐久性は高く、生材の状態よりも遥かに強い皮膜を持ちますが、外部環境によっては、その皮膜を侵してアルミも錆びます。
アルミの場合は「白錆」という局部腐食が発生しやすく、全面錆(全てがサビた状態)に至るまでには相当な時間がかかります。
アルミの白錆びは、プツプツと白い斑点が生じる状態で錆の種類として主に孔食に属します。
白錆びの場合は表面よりも凸になりますので指で触れば白い部分が飛び出ていることが分かります。これを放置していると全体が錆びてきますが、広がるというよりは、まだ腐食されていない各孔の腐食が進んで全体に及ぶイメージになります。
室内で利用される場合のアルミ製品の表面にこのような白錆びが発生することはほとんどありません。
主に外部環境下にさらされるアルミ製品の表面に多く見られる症状であり、常時外部環境下で利用される場合は錆は徐々に進行していきます。
アルミが錆びる原因
アルミの表面が錆びる原因は表面に付着した「汚れ」が原因となります。汚れの中で最も影響しているのが雨にも含まれてしまう塩分です。
そのまま放置していると、大気中の湿気や雨によってその汚れが「腐食性水溶液」に変化し、一般的にアルミの表面に施された酸化被膜(アルマイト)を溶かしてしまい、アルミの表面から錆び(白錆び)を発生させていきます。
外部環境下の汚れの主な原因
- 潮風(海からの風)
- ホコリやチリ
- すすや排気ガス
この中でもやはり一番の原因は塩分になってきます。クロームメッキの表面も同じような白錆びが発生して錆びていきます。但し状態としてはアルミの錆びとは性質が異なります。
サビの構造は簡単にはアルミの酸化被膜に対してアルカリ性の塩水で中和されて錆びるとでも覚えておいても良いかもしれません。
アルミの錆の種類
- 孔食
- 粒界腐食
- 応力腐食割れ
- 異種金属接触腐食
アルミの錆びの各種類についての説明は割愛致しますが、名称ごとに想像し易くもなっています。
日頃の手入れ
アルミを錆びさせないためにできることとしては、汚れたまま放置しないことが一番となりますが、一般的な外部環境下の中では最も注意すべきはやはり塩分です。塩は雨にも含まれますし、特に海岸に近い地域の方は普段から潮風にさらされますので、注意が必要です。
自動車の場合はこまめな洗車、特にアルミホイールであればスポークの中(ホイールの裏側)まで洗い流してあげることが、日頃から錆びを発生させないようにするための作業としてお勧め致します。
アルミの白錆びの取り方
白錆びの取り方としては、錆び取り剤などがホームセンター等にありますが、全てに共通して言えることは結局は削っているということです。磨き材(ポリッシュ)は白錆びを取る際に、一緒に周辺の酸化被膜も削ってしまいます。
その後にコーティングがかかるものもあります。
削った表面はその後にアルミの場合は空気中の酸素と結合して酸化被膜も自然界だけで形成はします。
ただし、これは人工的に酸化被膜を形成したものよりずっと膜厚は薄く、正直ほとんど効果は限定的です。そのため、一度白錆びが発生し、それを削る状況になったら、錆びたら削るの繰り返しになります。
カラーアルマイトされた表面の白錆びを取るためにポリッシュすれば色も取れてアルミの素地が出て銀色になります。
磨き材の粒度にもよりますが、鏡面まで磨き上げて綺麗に見えても、状態が良いとは言えず、錆びはすぐに発生しやすくなっていますので、その後も長く錆を発生させたくない場合は再アルマイト業者に依頼してアルマイトを施すのが最も良い状態にはなります。
錆び取り作業を行って、白錆びが取れても新品のような強い皮膜には戻りませんので、普段から錆びさせないようにしておくことが最善と言えます。手軽に行うには洗浄後に錆防止のコーティング剤を定期的にアルミの表面に塗っておく状態が良いでしょう。
この記事は機械加工の中でもアルミフルビレット技術を駆使して独自の観点によって「独創性のアイテム」を造り出す、alumania(アルマニア)の専門スタッフにより執筆されています。
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