水回りや空気などの圧力がかかった配管を繋げるジョイントのネジ部には、漏れ防止の「シールテープ」を巻くことがあります。
これはネジ部を締め付けても、無数に螺旋のネジ山同士はお互いに密着はしているものの、ネジの形成(加工)精度が低い場合やネジの山と谷に空いた微妙な隙間を通って漏れが発生することを防ぐことが目的です。
特に管内に圧力がかかる場合の結合ネジ部からの漏れが生じることを防ぐために処理するものです。
これは圧力がかからない部分のネジでも、液漏れや空気漏れが発生していれば多少の効果は期待できます。圧力がかからない場合は面で押さえるワッシャー(パッキン)を用いた効果の方が高いものではあります。
ここでは、コンプレッサー(圧縮空気)の出口に装着されるエアカプラのアダプターを例に用いて解説していきます。ネジ部は右ネジです。
なぜ正しい巻き方向があるか?
シールテープ自体には粘着性はなく、「めくれやすい」ため、ネジに巻いて締め込む際に、ネジ方向と逆に巻いてあると、潰れながらネジに沿ってシールテープが外に向かって出てきてしまいます。
例えるとネジ穴加工の際の切りくずが出てくるイメージです。
逆に巻いても締め付けはできますし、シールテープはネジ山には残りますので一定の効果はありますが、正しい方向とは言えないです。
シールテープを巻いたのに漏れが発生する場合は、(巻き方向が正しくない場合)一旦シールテープを剥がし、再度正しい巻き方向に巻き直すことで漏れが無くなる場合もあります。
シールテープの正しい巻き方向はネジの回転方向に同じ
シールテープの正しい巻き方向はネジの締め付け回転方向と同じ方向です。但し、これはネジを正面から見た場合です。
シールテープを巻くときはネジを正面に向けたほうが巻きやすいので、通常の右ネジであれば時計回りです。
ネジ側を正面から見た場合
- 右ネジ(時計回り)であれば、右回転に巻く
- 左ネジ/逆ネジ(半時計回り)であれば左回転に巻く
逆ネジになっていることはほとんどありませんし、そこにシールテープを巻くことは希少ですが、正しい巻き方向として伝えるにはネジの回転方向で正しい巻き方向は変わってしまいます。
シールテープの適切な巻き回数
シールテープの厚みは一般的な物であれば0.08mm程度です。(0.1mm未満です)そのため、ネジ同士の公差から言っても1周でも効果があります。
但し、シールテープは大変柔らかく直ぐに潰れますので、1.5~2.5周程度巻いておくことをお勧めします。
シールテープを巻くときは引っ張りながら、ネジ部の山にシールテープを押し当てるようなイメージで巻いていくことをお勧めします。ネジの谷側にシールテープが変形して入りやすいようにとなります。
3周以上巻いてしまうとネジの締め込みも硬くなり、シールテープも潰れたゴミがバラバラと外に押し出されるほどになってしまい、締め付け完了後も綺麗になりません。巻きすぎても効果は同じですので必要以上に巻きすぎる必要もありません。
シールテープを巻きすぎると
- ネジ山が噛まなくなり、締め付けが困難。またはネジ穴に入れて回しても入っていかなくなる。
- ねじ込んでいる途中からしわ寄せされたシールテープの残りが外に出てくる
- 締め付け完了後の仕上がりが汚くなる
付属されているシールテープは実際に使用される長さに対しては十分以上に余分になる事が多く大変無駄にもなります。
間違えたら再利用することなく、巻き直してください。また、今後のメンテナンス時のためにも保管しておきましょう。
一度使ったものは使用せず、ネジ部を外したら古いシールテープは剥がして、常に新品に交換、巻き直す必要があります。
最後にテープの端はネジに押し当てておく
最後にちぎったシールテープの先端を、ネジ部に指で押し付けておけば完了です。ハサミを使っていただいても構いませんが、柔らかいので引っ張れば裁断できます。
巻き付け完了後にネジ山の陰影が見えないほどになっていれば、それは巻きすぎです。
目的はネジ山同士にできる隙間を埋めるためのものですから、必要以上に巻き上げる必要はありません。
巻きつけたシールテープのままねじ込む
白色が一般的なシールテープは、巻いてあれば目立ちます。シールテープを巻き付けた後は、その部品を普段取りにそのままねじ込んでいくだけです。
※必要に応じ、規定トルクで締め付けてください。
シールテープが正しい方向に巻き付けてあれば、テープがバラけることなく綺麗に収まりますが、これが逆に巻いてあったり、巻きすぎであったりすると、ゴミのようにシールテープがボロボロと外に飛び出てきます。
エアツール工具を購入した際にシールテープが付属されていることがありますが、「シールテープを巻いてください」とだけの説明も多いので、シールテープの場合は正しい巻き方向があるので、頭に入っていると作業も楽になります。
ここでの解説としては、DIYで利用されることが多い家庭用のネジサイズ周辺の内容です。建築や設備の大型菅(直径30mm以上など)には厚みが0.2mm近くのシールテープも利用され、巻き回数は7周以上巻いてしまうこともあります。
この記事は機械加工の中でもアルミフルビレット技術を駆使して独自の観点によって「独創性のアイテム」を造り出す、alumania(アルマニア)の専門スタッフにより執筆されています。
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