多角形を気軽に紙に描こうと思えば、六角形までならコンパスと定規だけで比較的正確に描くことはできますが、それ(六角形)以上の多角形となると簡単ではありません。
また、偶数の多角形(八角形、十角形など)は考えやすいのですが、奇数の多角形(七角形、九角形など)となると定規だけでは手に負えません。
しかし、正多角形ならば「全ての辺の長さが同じ」であり、定規だけで描こうとすれば縦横の交点座標(XY座標)位置が分かれば正確な多角形が描けます。コンパスも分度器も不要です。ここでは難しい計算や多くの道具を用いず、定規だけで多角形を描けるように正三角形から正十二角形までの要素点(交点座標)を紹介していきます。

正多角形について知っておきたいこと
正多角形は1辺の長さが全て同じになり、合計の角度の和を求めるには
180°×(何角形 -2)=合計の角度
描きたい多角形の数から2を引いて、180°を掛ければ、合計の和が求められます。
更に一辺の角度は、その和から描きたい多角形の数で割れば求められます。
例)「八角形」の場合(偶数多角形)
180°×(8-2)=1080° →「八角形」の合計の和
1080°÷8 =135° →「八角形」の一辺の角度
例)「十一角形」の場合(奇数多角形)
180°×(11-2)=1620° →「十一角形」の合計の和
1620°÷11 =147.2727…° →「十一角形」の一辺の角度
奇数の多角形は「七角形」と「十一角形」は一片の角度が割り切れず、整数の角度にはなりません。そのため分度器を用いて角度だけを頼りにした七角形以上の奇数の多角形を描こうとすると、少し曖昧にもなってきます。
今やコンピューターでCADやイラストソフトを用いれば簡単に多角形でも正確に作ることは可能になりました。また、紙に描く場合でもコンパスがあれば多角形も正確に描くことができますが、意外に身の回りに定規だけしかない場合、それぞれの正多角形の縦横の寸法値が分かれば、定規だけで比較的簡単に多角形を描くことができます。
全ての正多角形の寸法値は外周の円を直径100(mmでもMでも置き換えできます)としていますので、サイズ違いを描きたい場合は、各点の位置を比率で割り出して描きたい多角形のサイズに合わせて計算する必要があります。
少数以下が多くなるため電卓を片手に比率で計算しながら、縦横に定規で点を打って線を繋げていく方法となります。
ここで紹介する多角形の描き方

ここで紹介する多角形の描き方は完全に正確な多角形を描く方法とは異なり、多角形の各要素点を打って線で結んでいく方法となります。
「定規だけで紙に多角形を描く」ための多角形のそれぞれの交点の位置を紹介する内容になります。
全ての点が接触する外円を100としていますので、各多角形の要素点を比率で計算する必要はあります。
定規だけで多角形を描く手順(奇数多角形の場合)
- 縦横に直交線(水平垂直線)を描きます。
- 以下で紹介する描きたい多角形の寸法値を見て最上と最下の補助線を描く
- 補助線の交わる各要素点をマーキングしておく
- 要素点同士を線で結ぶ
描き方手順(正七角形を描く場合の一例)

ここでの描き方の例では中心から片側(右側)のみを描いています。(反対側も同じです)
正多角形の奇数多角形の場合は、上下で見る片側の頂点は外周円(ここでは外円100のため、50の位置)に接触し、反対側は直交(水平)線に平行になります。
正多角形の各種寸法値(外円を100とした場合)
正三角形の寸法値

正三角形の合計の和は180°で、一辺の角度は60°になります。
一辺の長さは86.6(/100)です。英語では「equilateral triangle」です。
正方形(四角形)の寸法値

正方形(正四角形)の合計の和は360°で、一辺の角度は90°になります。
一辺の長さは70.71(/100)です。英語では「regular quadrangle」です。
正五角形の寸法値

正五角形の合計の和は540°で、一辺の角度は108°になります。
一辺の長さは58.78(/100)です。英語では「regular pentagon」です。
正六角形の寸法値

正六角形の合計の和は720°で、一辺の角度は120°になります。
一辺の長さは50(/100)です。英語では「regular hexagon」です。
正七角形の寸法値

正七角形の合計の和は900°で、一辺の角度は128.57…°になります。
一辺の長さは43.39(/100)です。英語では「regular heptagon」です。
正八角形の寸法値

正八角形の合計の和は1080°で、一辺の角度は135°になります。
一辺の長さは38.27(/100)です。英語では「regular octagon」です。
正九角形の寸法値

正九角形の合計の和は1,260°で、一辺の角度は140°になります。
一辺の長さは34.2(/100)です。英語では「regular nonagon」です。
正十角形の寸法値

正十角形の合計の和は1,440°で、一辺の角度は144°になります。
一辺の長さは30.9(/100)です。英語では「regular decagon」です。
正十一角形の寸法値

正十一角形の合計の和は1,620°で、一辺の角度は147.2727…°になります。
一辺の長さは28.17(/100)です。英語では「regular hendecagon」です。
正一二角形の寸法値

正十二角形の合計の和は1,800°で、一辺の角度は150°になります。
一辺の長さは25.88(/100)です。英語では「regular dodecagon」です。
多角形の一辺の長さと角度一覧表
正多角形に重要なのは、「一辺の長さが同じ」ということになります。その条件から、角度が決まりますが角度も正多角形のため全て同じ一片の角度になります。
各多角形の画像には表記しておりますが、表にまとめると傾向も掴みやすいため、改めて外径(外円)を100とした場合の「1辺の長さ」と「角度」を一覧表にまとめておきます。
多角形 | 一辺の長さ | 合計角度 | 一辺の角度 |
---|---|---|---|
正三角形 | 86.6(/100) | 180° | 60° |
正四角形 | 70.71(/100) | 360° | 90° |
正五角形 | 58.78(/100) | 540° | 108° |
正六角形 | 50(/100) | 720° | 120° |
正七角形 | 43.39(/100) | 900° | 128.5714….° |
正八角形 | 38.27(/100) | 1,080° | 135° |
正九角形 | 34.2(/100) | 1,260° | 140° |
正十角形 | 30.9(/100) | 1,440° | 144° |
正十一角形 | 28.17(/100) | 1,620° | 147.2727…° |
正十二角形 | 25.88(/100) | 1,800° | 150° |
正十二角形ともなると、小さい直径ではほとんど円に近づいてきますが、大きければ大きいほど辺の長さも大きくなります。
それぞれの多角形の合計角度は「 180°×(何角形 -2)=合計の角度 」で求められますので、これだけは覚えておくと便利です。

この記事は機械加工の中でもアルミフルビレット技術を駆使して独自の観点によって「独創性のアイテム」を造り出す、alumania(アルマニア)の専門スタッフにより執筆されています。
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