まもなく完成する樹脂成形用の金型です。こちらは放電加工機に金型を乗せて加工を行っている状態です。
切削加工と違い、画像上の上に見える銅の「電極」と呼ばれる、ちょうどスタンプと言った方がイメージ付きやすいかもしれません。その電極に電気を流しながら直接押し当てていくことでその形状に仕上げます。(実際には接触せず、狭い隙間感にプラズマを発生させて削っています)
放電加工中は液体内に沈めた状態になりますので、プラズマの光が少し見える程度で何時間もかけて加工していきます。なお、金型は重いので放電加工時は万力などで固定する必要はなく、主に電磁チャックで固定します。
放電加工はスタンプのようなもの
放電加工機はスタンプのイメージと申しましたが、電極となる銅を予め仕上げたい形状に加工しておき、それを当てていくことでその形状を得られます。
顔の形に削っておいた銅の電極を当てていけば、その顔の形に対象物が削られます。
放電加工のほとんどは上部から当てていきます。しかし、上下運動だけでなく、XY方向も1mm未満で動き(振り)ながら加工されます。そのため、電極側は仕上げ寸法よりも小さく作っておく必要があります。
また、電極が大きくなると加工時間も大幅に増加していく傾向があるため、極力放電加工は減らせるように考えますが、現代は製品の複雑化も進み放電加工の工数は大変多くなってきています。
放電加工が完了したイメージ
こちらは別部品の金型になりますが、エンドミルによる切削加工はほとんど行われておらず、大半が放電加工になっています。
放電加工用の電極
前述した通り、樹脂型の場合は放電加工が多くなります。電極は加工中に劣化していきますので、「粗取り用」と「仕上げ用」にも分けていく必要もあります。
また、部分部分で小分けにして加工していくこともあり、電極だけで一つの金型を完成させるために本当に数多くの種類を作る必要が出てきます。
もちろん、求められる製品形状の複雑さや大きさにもよるので一概にはなりません。電極自体はマシニングセンターなどで作ります。
主要な大きさまでは切削で彫り込んでいきますが、最終形状は電極による放電加工での仕上げになります。その後金型を磨いて鏡面やシボを与えて製品金型になってきます。
電極には土台が必要
気付いた方もいらっしゃるかと思いますが、電極のほとんどは土台が長方形または正方形になっている6面体(XYZが全て垂直)です。これは、加工対象物と平行を取るための基準が必要になるためであります。
なぜ?電極の土台は六面体なのか
- 加工対象との平行を取るため
- 電極加工時の万力チャック用
この土台の寸法自体を利用するか、どこかしらの角を基準として、加工対象とXYZを平行にして放電加工機にセットしてあげる必要があります。
昔ながらでは、ダイヤルゲージを放電加工機側にセットして土台にピックを当てて平行度を合わせていきました。なかなか電極を放電加工機にセットするだけでも少々面倒な作業です。
そのため、電極の土台はとても重要で正確な六面体を構成させておく必要があります。ここがしっかりしていないと、積もり積もって加工後の位置が微妙にズレたり、斜めに加工されてしまったりと面倒な修正作業になってしまいます。
この記事は機械加工の中でもアルミフルビレット技術を駆使して独自の観点によって「独創性のアイテム」を造り出す、alumania(アルマニア)の専門スタッフにより執筆されています。
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