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スマホのワイヤレス充電Qiは遅い – 有線接続とスピード比較

ワイヤレス充電は遅い

まさに、スマホを置くだけで充電できるワイヤレス充電 「Qi(チー)」(無線充電) ではありますが、その充電スピードには懐疑的なところがあります。

もちろん、有線接続の方が充電スピードが早いのは感覚的にあるのですが、実際のところはどうなの?といったところで、有線接続と比較して満充電になるまでの時間や電力の関係を測定ました。

ワイヤレス充電は遅い?

テスト方法や詳細の測定結果は次の章で説明していきますので、先に簡単に全体が掴めるように、30分単位の充電容量推移の結果を見ていきます。

ワイヤレスと有線の充電スピード結果

ここでは「iPhone 11 Pro」を使用しておりますので、全てのスマホで同じ結果にはなりませんが、ワイヤレスと有線充電の充電スピード違いを傾向として掴めます。

「iPhone 11 Pro」を用いて30分単位の【①ワイヤレスQi】,【②従来式(一般的な5W充電)】,【③高速充電(PD)】の充電容量結果をまとめています。
※iPhone 11 Proの付属充電器はUSB-CタイプのPD充電器のため、②従来式の5Wで充電することは標準の充電ではありません。

30分毎の充電方法違いの充電残量(iPhone 11 pro)
時間 ①ワイヤレスQi ②従来式(5W)充電 ③PD(高速)充電
30分 12% 20% 50%
60分 26% 37% 80%
90分 41% 54% 94%
120分 54% 71% 100%
150分 68% 87% 100%
180分 81% 98% 100%

スマホ本体の電池容量で充電スピードは異なります。

iPhone 11 Proでは電池容量が歴代モデルと比べて大きくなっていますので、スマホが違えばここでの結果の充電時間は異なってきます。参考用にiPhoneモデルごとの電池容量とワイヤレス充電とPD高速充電対応についても記載しておきます。

iPhoneシリーズのバッテリー電池容量
モデル バッテリー容量 ワイヤレス,高速充電
iPhone 11 Pro 3,046mAh
iPhone 11 Pro MAX 3,969mAh
iPhone 11 3,110mAh 対応
iPhone XR 2,942mAh 対応
iPhone XS 2,658mAh 対応
iPhone X 2,716mAh 対応
iPhone 8 1,821mAh 対応

iPhone 11 Proよりも電池容量の大きい「iPhone 11」では 充電時間は更に伸びるため標準付属品の充電器(USB-A)では役不足が伺えます。PD充電器とMfiライトニングケーブルを用意して、高速充電ライフをお勧めします。

なお、ソニーモバイルのXPERIAでは「XPERIA 1」と「XPERIA 5」ではワイヤレス充電に対応していません。次期モデルのXPERIA 1 Ⅱでは、ワイヤレス充電対応になります。


比較測定方法の詳細説明

充電器と充電方法の違いで3種類で比較

iPhone 8以降は本体の充電方法にPD(Power delivery)高速充電が可能になったことと、ワイヤレス充電Qiにも対応しています。ゆえにiPhoneの充電モード(方式)的には3っつの方法があります。

  • ①無線-ワイヤレス充電(別途Qiの給電機が必要)
  • ②有線-従来方式(小型の5V1A家庭用コンセント、最大5W)
  • ③有線-高速充電(USB-CのPDチャージャーとケーブルが必要、最大18W)

③のiPhoneを高速充電する方法は別記事の「iPhone11の高速充電にはPD(充電器)とUSBC+Mfi(ケーブル)が必要です。 」をご覧ください。

iphoneの充電方法は3っつ
それぞれの充電スピードを測定

測定条件

スマホを置くだけで充電ができる本当に便利なワイヤレス充電ですが、では一体何分で満充電になるのか?有線と比べてどれほどの違いがあるのか?という観点で実測測定してみました。
全て同条件になるように、測定条件としては以下の通り。

  • 比較したモデル:iPhone 11 Pro
  • ワイヤレス充電機器:Anker POWERWAVE PAD
  • 有線接続に用いた充電器とケーブル:②③はapple純正品
  • iPhoneを放電させて1%からのスタート
簡易テスターで測定
充電器とケーブルの間に簡易テスターを利用

ワイヤレス充電機には、アップルの純正付属品がないため、Anker POWERWAVE PADを使用しています。高速ワイヤレス充電の10Wモードの性能を持っていますが、iPhone 11 Proは5Wでしか充電できませんでした。※高速モードはGALAXYなどの一部モデルで有効です。

ちなみにワイヤレス充電は、「電磁誘導」を利用した仕組みです。昔からある技術ではあり、家庭用の電話機(子機)などでは古くからワイヤレス充電が主流になっています。

「電磁誘導方式」
2つの隣接するコイルの片方に電流を流すと発生する磁束を媒介して、隣接したもう片方に起電力が発生する電磁誘導の原理を用いたものである。

Wikipediaより引用

満充電までの充電速度 測定結果

ディスプレイに表示される充電容量
ディスプレイに表示される電池残量を読み取り

3っつの方法でそれぞれ満充電の100%になるまでの時間と電力(電圧と電流)の変異を測定して表とグラフにまとめています。

測定結果詳細

最初に紹介した30分単位の更に詳細となる10分単位で見ていきます。電圧・電流からも変化の傾向が掴めるようにしています。

10分単位経過ごとの充電容量結果

満充電までの時間と充電容量表示
充電方法 ①無線-ワイヤレス充電 ②有線-従来の5V1A ③有線-高速充電
MIN(10分ごと) BATTERY V W BATTERY V W BATTERY V W
A A A
0分 1% 4.92V 3.49W 1% 5.05V 4.80W 1% 5.03V 12.78W
0.71A 0.97A 2.54A
10分 2% 4.91V 5.50W 8% 5.05V 4.90W 18% 8.99V 17.44W
1.12A 0.97A 1.94A
20分 7% 4.91V 5.50W 14% 5.05V 4.90W 35% 8.99V 15.55W
1.12A 0.97A 1.73A
30分 12% 4.91V 5.50W 20% 5.05V 4.90W 50% 9.00V 14.22W
1.12A 0.97A 1.58A
40分 17% 4.91V 5.50W 26% 5.05V 4.90W 62% 9.00V 11.16W
1.12A 0.97A 1.24A
50分 21% 4.91V 5.50W 31% 5.05V 4.90W 76% 9.01V 8.65W
1.12A 0.97A 0.96A
60分 26% 4.91V 5.50W 37% 5.05V 4.90W 80% 9.01V 6.85W
1.12A 0.97A 0.76A
70分 31% 4.91V 5.50W 43% 5.05V 4.90W 87% 5.03V 5.99W
1.12A 0.97A 1.19A
80分 36% 4.91V 5.55W 49% 5.05V 4.90W 91% 5.03V 4.07W
1.13A 0.97A 0.81A
90分 41% 4.91V 5.70W 54% 5.05V 4.90W 94% 5.03V 2.97W
1.16A 0.97A 0.59A
100分 45% 4.91V 5.55W 60% 5.05V 4.90W 96% 5.03V 1.66W
1.13A 0.97A 0.33A
110分 50% 4.92V 5.56W 65% 5.06V 4.90W 98% 5.03V 1.26W
1.13A 0.97A 0.25A
120分 54% 4.92V 5.51W 71% 5.08V 4.90W 100% 5.03V 0.70W
1.12A 0.97A 0.14A
130分 59% 4.91V 5.55W 77% 5.08V 4.90W
1.13A 0.97A
140分 63% 4.91V 5.70W 82% 5.08V 4.90W
1.16A 0.97A
150分 68% 4.91V 5.70W 87% 5.08V 4.90W
1.16A 0.97A
160分 72% 4.91V 5.70W 92% 5.07V 3.50W
1.16A 0.69A
170分 76% 4.91V 5.70W 95% 5.08V 2.18W
1.16A 0.43A
180分 81% 4.91V 5.70W 97% 5.08V 1.52W
1.16A 0.30A
190分 85% 4.91V 5.70W 98% 5.08V 1.52W
1.16A 0.30A
200分 89% 4.91V 5.70W 100% 5.08V 0.77W
1.16A 0.15A
210分 93% 4.92V 3.89W
0.79A
220分 95% 4.94V 2.42W
0.49A
230分 97% 4.95V 1.93W
0.39A
240分 98% 4.95V 1.29W
0.26A
250分 98% 4.95V 1.19W
0.24A
260分 100% 4.95V 0.74W
0.15A

ワイヤレス充電の電力測定値は充電器パッドへの供給電力であり、スマホ本体への供給電力とは異なります。ここではあくまでも相対的な変異としてとらえやすくするように記載してあります。

1時間で80%まで一気に充電してしまう、③の高速充電と比べるとやはり大きく見劣りしてしまいますが、ワイヤレス充電では30分で12%、1時間で26%、2時間でようやく半分を超えたあたりになりました。

変異グラフ比較

3っつの方式で表の値からグラフ化しています。縦軸は充電容量、横軸は10分単位の時間軸です。

充電曲線グラフ
縦軸が充電容量、横軸が時間です。

こうやって見てしまうと、ワイヤレス充電のスピードが寂しい感覚にはなってしまいます。

80%を超えた辺りからスピードは落ちます。

充電が落ちるポイント
満充電に近づくとスピードが落ちるのは全て同じ

正確な数値で把握しておりませんが、高速充電の場合は80%辺りから。ワイヤレス充電と5W充電は90%を超えた辺りからスピードが一気に落ちます。

そこから100%になるまでに、どの充電方法でも今までのスピードとは比べ物にならない時間を要します。

充電方法違いで満充電(100%)になるまでに要した時間(分)

  • ①ワイヤレスQi = 258分
  • ②従来方式5W充電 = 199分
  • ③PD高速充電 = 118分

ワイヤレス充電Qiで満充電までの時間

ワイヤレス充電のセットイメージ

ワイヤレス充電Qiの30分毎充電容量結果

※iPhone11Proの場合です。

  • 30分経過=12%
  • 60分経過=26%
  • 90分経過=41%
  • 120分経過=54%
  • 150分経過=68%
  • 180分経過=81%
  • 210分経過=93%
  • 240分経過=98%
  • 260分で100%

100%までは4時間20分程度

実にiPhone11Proを用いてワイヤレス充電で満充電(100%)を表示する状態になるまでは258分(4時間18分)かかりました。※iPhone11Proの場合

これは有線の高速充電での満充電までの120分に対して2倍以上かかるわけですので、実用的にはやはり就寝前の利用が適しているものになってきます。

ワイヤレス充電Qiのデメリット

就寝時に外れていることも

就寝前の利用では、バイブレーション機能オフなども気を付ける必要もあります。

なかなか充電範囲の狭いワイヤレス充電では、少し中心から外れると実際には充電できていないことも。寝ている間に着信時のバイブレーションなどで少し外れてしまい、朝には充電できていないことも生じますので、注意は必要です。

ちょっとした『追い充電』に向かない

やっぱりワイヤレス充電は有線接続に比べて遅いという結果になりました。

短時間の追い充電や、自動車でスマホをナビ代わりにしながら充電もしたいという用途には、正直まだまだ向いていないのが実情とも言えます。

ワイヤレス充電は非常に魅力的ではあるものの、現時点での充電スピードからするとシーンごとに使い分ける必要があり、全てをワイヤレス化したスマートフォンになるにはもう少し先の話になりそうです。

80%を超えてからは大きく時間がかかる

どの充電方法でも80%を超えたあたりからはゆっくり充電していきます。それでも②③の有線接続に比べて80→100%までに80分かかってしまいます。(有線では60分)

ここでは有線接続と比べて1.5倍までとはいかないものの、心理的にも「100%まで待ちたい」というときには、有線の方が20分は短縮できます。


充電器の最大電力について

充電器に表示されている最大電力5V1Aや5V2.4Aなどは、ワイヤレス充電機にも記載されています。数値が大きければ充電速度は速くなっていく傾向がありますが、有線で接続する充電器とワイヤレス充電器でその数値だけでは比較できません。

iphone11proをワイヤレス充電中
便利なワイヤレス充電だが…

ワイヤレス充電は、充電器側と本体とのコイル間の電磁誘導で電気を発生させており、そこにはロスが生じますので、実際には5V1Aの表示があっても5Wでは充電できていません。そのため、時間が有線充電よりも多くかかります。

まとめ

  • ワイヤレス充電で満充電は258分(4時間18分)
  • iPhone 8~11の付属品(一般充電)で満充電までは199分 (3時間19分)
  • iPhone 11 Pro付属品のPD高速充電で満充電まで118分(1時間58分)
  • いずれも80%を超えたあたりから一気にスピードは下がります。
  • 自動車でナビ画面を表示しながらのワイヤレス充電は追い充電目的としては難しい面がある。
  • ワイヤレス充電は就寝前の利用がお勧め。
  • 安定感とスピードの両面で圧倒的に有線充電が有利
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