家電品や建築・設備、乗り物(自動車)、スマートフォンに至るまで、人間が生産するものには、ありとあらゆるところにネジやボルトが使用されています。
ここでは、ホームセンター等で手に入れやすい「ボルトやネジのネジ部のサイズを確認する方法」を解説していきます。ボルトとネジに限定し、タッピングスクリューや木工ねじなどの、いわゆる締めることでネジ山を一緒に形成していくものは除外しています。
また、輸入品で多く利用されるインチねじについても除外しています。JIS規格に限定しています。
最初にネジの構成(各部の名称)を説明してから、雄ねじサイズの確認方法、雌ねじ側へと解説していきます。
ネジ部の構成(ネジ径、長さ、ピッチ)
ネジ部を表記される際の構成としては3っつで、「直径(太さ・呼び径)」と「長さ」と「ピッチ」で表されます。
- ①直径(太さ、呼び径)
- ②長さ
- ③ピッチ
ネジ部の表記サイズの見方 (例)M6 ×30
ネジの表記上は、ネジ部の構成順①②③で記載されています。
このような表記があった場合で解説します。なお、ネジをホームセンター等で購入する場合にはピッチは記載されていないことがほとんどですから、「M3×20」や「M10×55」までしか記載されていません。
以下のように「M6×30」の場合ではネジの形状違いでもネジ部は同じ意味になります。
首下(頭の下)に不完全ネジ部が設けられているボルトやネジであっても、表記サイズは変わりません。
①直径(ネジの直径)はMで表します。
頭のMはメートルネジ(単位はミリ)の宣言表記になります。その次に続くのがネジの呼び径で直径(太さ)になります。
ここでの例では、ネジの太さ(呼び径)が6㎜となります。
②長さは5㎜飛びがほとんどです。
10、15、20、25、30… と、長さは5㎜間隔で設定されることがほとんどです。
直径が小径(M6未満)であれば、長さは15㎜未満の12㎜や8㎜なども設定されることが多くなります。
ここでの例ではネジ部は30mmの長さになります。
③ピッチは併記されていない
最初の頭のMで宣言しているため、ピッチが表記されることは少なくなります。
ピッチの記載がない場合は、基本的に【JIS規格の並目】となります。
直径別のピッチの一覧は「ネジピッチ早見表(JIS メートル 並目) 呼び方 」をご覧ください。
ここでの例「M6×30」の場合、ネジピッチ(山と山の距離間)はJISに準じた【1.0㎜】となります。
並目の規格とは異なるピッチの場合には、ネジ径と長さの後にピッチが併記されます。
その場合は表記上で長さと間違えやすいので、ピッチ数値の頭にはPが併記され「P1.25」や「P0.8」と記載されます。
直径とピッチが合えばねじ穴に締め付けすることはできます。あとは長さと頭の形状で異なってきます。用途によっては材質も考慮する必要があります。
ネジの頭の形状まではここには表記されません。
ネジやボルトには頭の形状も様々あります。
しかし、ここで説明する呼び方については、ねじ部だけの表示方法のため、頭の形状は別途記載されます。
例えば、「六角穴付きボルト」「皿ネジ」などのネジ形状が最初に表記され、その後にネジサイズが表記されることがほとんどです。
頭の形状まで特定する呼び方についても 「ネジピッチ早見表(JIS メートル 並目) 呼び方 」で説明していますので、ご覧ください。
雄ネジ側のねじサイズを確認する方法
用意するもの
- ノギス
- (ピッチゲージ)
ネジサイズの測り方の順番
- ノギスでネジ部の直径を測る
- ピッチゲージを当てて確認する
ネジの直径から測る理由は、ピッチが予想できるためです。
ピッチゲージはゲージが沢山ありますので、当てては繰り返すでは時間がかかります。
多くはM径ごとにJIS規格のピッチになっていますので、M径に対するJISのピッチの値も確認しておけば、すぐにネジのサイズが確定できます。
ノギスだけで直径がわかればピッチは規格表から確認するだけで特定できますが、「直径が合っているはずなのにネジ穴にボルトやネジが入っていかない場合、ピッチが違っている場合があります。」そのため、ピッチゲージもあると便利です。
①直径の測り方
ノギスでネジ部を直接つかんで寸法値を確認します。この場合は5.9㎜のため、M6となります。
ネジ山個々の山の先端は完全に鋭角ではありませんので表記がM6でも6㎜にはならず、少し小さい測定値になります。
②長さの測り方
直径を測る際にノギスを使ったため、そのまま内側ジョウを当てて長さを目安で当てています。
長さの場合は5㎜飛びの設定でありますので、大体の長さを測れば良いとなります。そのため、定規やコンベックスでも目盛りを当てて長さをしることができます。
③ネジピッチの測り方
ネジのピッチは「ピッチゲージ」を使って確認します。ノギスではネジ山の間は測定しにくいため、ネジのピッチはピッチゲージを利用します。
しかし、前述の通りJIS規格でネジのピッチは直径ごとに決まっていますので、特殊ねじでない限り、ネジの直径さえ確認できてしまえば、基本的にはあえて測定する必要はありません。
特殊なネジや、一品ものでピッチだけ確認したい場合はピッチゲージで簡易確認ができます。
ゲージの山と確認したいネジの山同士が合うか合わないかでだけで判断します。
ピッチが合わない場合
1㎜ピッチのネジ部に0.8ピッチのゲージを当てたところです。ネジ山が合致できずにゲージがネジ部に嵌る(はまる)ことができません。
正しいピッチ同士の場合
ネジ山が完全に合致した場合、そのゲージの値が正解のピッチとなります。完全に全ての山と谷が一致するため、ゲージがネジ山に入り込んで嵌り(はまり)ます。
合致しないゲージでは例え数値が近いものでもお互いの谷と山が奥までは入りません。
一見入っているように思えても、なんか気持ち悪い感覚があれば、ゲージから違うピッチを取り出して当ててみることが必要です。
M10以上くらいから通常のJIS規格ではP1.5ですが、P1.25も多く利用されており、規格外が混在しています。
また小径ネジでも並目と細目がありますので、なんとなく合致したから良いではなく、しっかり奥まで入るかを確認する必要があります。
雌(メス側)ねじサイズの確認方法
穴側のネジになる、めねじ(雌ネジ)側のネジサイズを知りたい時、M17くらいにならないとピッチゲージが入らないことがほとんどです。
それでは先に紹介した雄ねじ側と同じ方法では測ることはできません。
そのため、上記のボルトやネジを一旦測ってサイズが分かったものを雌ねじにねじ込み、入れば同じサイズということになります。
雌ねじを測る手順としては、
- ネジ穴に対して入りそうなネジやボルトを用意する。
- 入れるネジまたはボルトのネジ径とピッチを確認する。
- 上でサイズが分かったボルトやネジを雌ねじに入れる
- 入れば、入れたボルトやネジと「同じねじサイズ」
近くにボルトやネジが無い場合
ノギスで直接ねじ穴の内径を測る方法もあります。しかし、ピッチまでは測定できないため、あくまでも予想サイズになってしまいます。
その場合は概ねJIS規格を前提として、「測定した内径」+「予想ピッチ×2」でM径が予想はできますが確実ではありません。
例)ネジ穴の内径を測ると7.3だった → 7.3+(1.5×2)=10.3 →M10
ネジサイズの確認方法まとめ
ここでご紹介したネジのサイズ確認方法の要点を以下にまとめておきます。
- ネジ部を測るときはノギスを使用する
- ピッチは表記されていない場合が多い
- 直径別でピッチは特定できる
- M直径は実測では必ず0.1~0.2㎜程度小さくなる
- ネジの長さは5mm間隔がほとんど
- ピッチの確認にはピッチゲージを用いる
- ネジ頭の形状が違ってもネジ部の表記方法は全て同じです。
- 雄ねじ側は先にボルトやネジを用意して入るか、入らないかで判断する。
この記事は機械加工の中でもアルミフルビレット技術を駆使して独自の観点によって「独創性のアイテム」を造り出す、alumania(アルマニア)の専門スタッフにより執筆されています。
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